しんしん

ニューヨーク・ニューヨークのしんしんのレビュー・感想・評価

4.0
本当にスコセッシらしい素晴らしい作品だった。タクシードライバー でヒットした直後で大規模な予算が組まれて作られたが、残念ながらヒットにはならなかった作品。

本作のデニーロはタクシードライバーのあの非モテデニーロのまんまのキャラクター。とても我が強く、暴力的なまでに愛を欲する青年。その青年とライザミネリの激しい恋愛とそれぞれの生活ゆえの破局の話。
強いスポットライトを焚く外連味のあるショットは後の「シャッターアイランド」に通じる演出だった。
デニーロがちょっとミネリに対して酷すぎる当たり方をしていたが、それはスコセッシらしい暴力的であり繊細すぎるキャラクター造形だから。そんなデニーロに最後までゾッコンだったライザミネリは少しご都合主義のキャラクター感は否めない。
それでも2人が愛し合った結果として、名曲であるニューヨークニューヨークが生まれ、それをラスト、最高の歌唱力で歌いきるライザミネリのシーンは本当に素晴らしかった。「タクシードライバー 」好きこそ見るべき一作だと思う。
それに「ララランド」が影響を受けたシーンが沢山あった。

あまり陽の目を見なかった作品だが、間違いなく名作でありスコセッシらしい一作だった。