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アオサギとツルのbackpackerのレビュー・感想・評価

アオサギとツル(1974年製作の映画)
3.0
アニメーションの神様ユーリ・ノルシュテインの、監督第4作。
原案は、前作『キツネとウサギ』と同じく、ウラジーミル・ダーリの民話。
切り絵アニメーションとは思えぬほど淡く儚い美しさに溢れ、互いを思い合っていながら、いざとなると天邪鬼になるアオサギとツルの心理を喜怒哀楽を寂しげに彩ります。

内容は、「アオサギとツルが互いに結婚の申込をし合うが、片方が素直になれば片方が意固地になり、気がありながら断って、結ばれぬ姿を切り出した」というもの。
いじわる、天邪鬼、後悔、反省、悲しみ。
同じことを何度も何度も反復しているに過ぎない話しながら、毎回コミカルに変化していき、「お!やっと結ばれるか!」と思ったのに、結局決裂する姿なんて、全くヤキモキさせられます。

本作は、ノルシュテイン監督と、撮影監督のアレクサンドル・ジュコフスキーが共通して好んでいた、葛飾北斎や歌川広重の版画や水墨画の影響を受けているとのことで、「雨を描く際は線が引かれる」という日本画的要素も織り込まれております。
儚い雰囲気を醸し出す作品に、和風オリエンタルな要素が加えられていたなんて、なんとも素敵ですねぇ。
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