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スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐のTEPPEIのレビュー・感想・評価

4.0
J.J.エイブラムスが正式にエピソード9の監督を務め、「フォースの覚醒」以来の復帰、ジョージ・ルーカス以外で初めてシリーズの監督を複数手がけることになった。「フォースの覚醒」で批評的にも興行的にも大成功だったことを考慮すれば、別に不思議なことではない。なぜか日本ではJ.J嫌いがチラホラいるが。基本的には彼はスピルバーグとルーカス世代で育った立派なオタクなので、やはり「スター・ウォーズ」に通ずるものがある。どちらにせよ、ファンとしてはかなりホッとしている。
そんな僕含めファンからはあまり評価されないアナキン3部作。「クローンの攻撃」から見ても正直これどこに向かっているのだろうか…という不安があったが最終章である「シスの復讐」は見事にアナキン3部作の壮大な物語にピリオドを打ち、ルーク3部作への系譜を残した。脚本はところどころルーク3部作への繋がりに対して矛盾点はあるが、複雑だったダースベイダー誕生秘話をノンストップで描き切り、シリーズ中最もシリアスな展開が続く。終わりが分かっているのに、アナキン・スカイウォーカーがダークサイドに堕ちる経緯とパドメとの恋、そして師・オビワンとの対決など見どころいっぱいである。ここに来てグリーバス将軍というキャラクターもぶちこまれ、相変わらずストーリーと台詞が少し面白味に欠ける新3部作。カメラアングルも立往生と会話、座りながら会話というものが続くがシリーズ生粋のライトセーバーバトルは実に素晴らしい。見せどころは多くあった。特にオビワンとアナキンの決闘は対決前にオビワンの師としての覚悟、アナキンの暗黒面と生きる覚悟のぶつかり合いは見応えがあるが、オビワンが時折「弟だと思っていた」やパダワンのアナキンに対する想いを語るが別にそんなシーンを見たわけでもなければこの2人そこまで仲よさそうでも無かったので、何となく勿体無い。単にオビワンが多くを語らないのかもしれないが、いま少し描写が欲しかった。ダースベイダーの誕生は感無量であるが、魔法の言葉「Nooooo!!」は酷い台詞だ。
シリーズ作品として新3部作を再評価させてくれる「シスの復讐」は「ローグ・ワン」の登場でさらに見応えのある一本になっている。総評としてルーカスが手がけた新3部作はエピソード3がまとめた功績と、「新しいスター・ウォーズ」を改めていいものだと思わせてくれる映画である。ヘイデン・クリステンセンが主役なのにエンドロールでユアン・マクレガーが最初にクレジットされるあたり意地悪な感じがしたのは自分だけだろうか。「シスの復讐」はルーカス新3部作のなかで一番の出来である。
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