ふじお

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐のふじおのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

前二作よりも、アクションと人間ドラマのバランスが良くなり、前二作で微妙に消えかかっていた娯楽性を取り戻し、シリーズ最大の悲劇を描いた問題作。

問題作と表現したのは、このプリクエル三部作の存在を否定するスターウォーズファンが今も世界中に存在するからです。

たしかに本作は、「~エピソード4 新たなる希望」から始まるオリジナル三部作に繋がるはずの作品にして、矛盾点が多数あります。

①エピソード6でレイアは自分の母のことを少し覚えているといっていた。
→本作では、レイアとルークを出産してすぐにパドメは死んでしまう。
②チューバッカはジェダイと共に戦った。
→チューバッカの親友のハン・ソロは、ジェダイやフォースをインチキだと思っている。
③オビワンが若い。
→数十年後を描いたはずのエピソード4で一気に老化する。
④オビワンとR2-D2は知り合い同士
→オビワンがR2-D2の存在を忘れてしまう。
⑤オビワンは、身を隠すためにタトゥイーンに居た。
→まだジェダイの服を着ている。人目のつく所でライトセーバーを取り出す。ベン・ケノービと名前を変える必要があるのかよく分からない。
⑥C3-POを所持していたのはオーウェン。
→オーウェンがC3-POの存在を忘れてしまう。

まだ他にも矛盾点がありそうです。

しかし、個人的には矛盾点はあまり気にならなかったです。
本当は矛盾点を作らずに、上手くエピソード4に繋げてほしかったという気持ちもあります。
でも、前日譚は上手くシリーズに繋げても繋げなくても良い気がします。
「猿の惑星 グレートウォー」は素晴らしい映画であることは間違いないですが、どうにもシリーズ1作目に繋がるとは思えないです。

そして、本作「~エピソード3 シスの復讐」も素晴らしい映画だと思っています!


冒頭のスペースバトル、ドゥークー伯爵との再戦!様々な惑星で起こる戦争!メイス・ウィンドゥとパルパティーン(ダース・シディアス)のベテラン同士の戦い!ヨーダとパルパティーンの善と悪の最終決戦!アナキンとオビワンの師弟同士の戦い!
シリーズ最高のアクションシーンが次から次へと繰り出されます。

アナキンとオビワンの戦いは、シリーズで最も素晴らしいシーンです。2人が戦わなければならないことは最初から分かっていながらも、のめり込んでしまいました。


アナキンとオビワンの友情の描かれ方も良いです。もっと細かく描いてほしかったけれど、それでも良かったです。喧嘩するシーンも多いけど、信頼し合っているからこそ感情的になるのかなと思いました。

2人の友情を細かく描けなかった理由として、別々で行動することが多いというものがあります。
しかし、これも効果的に利用されていると思いました。
オビワンという支えてくれる人が近くにいないから、アナキンはダークサイドに落ちてしまうのです。逆にオビワンは、アナキンを信頼しているからこそ、少し距離を置こうとします。
この2つの思惑が2人を対決へと導いてしまいます。


嫌いという意見も多く存在するアナキンも好きです。大好きかは分からないけど、興味深いキャラクターです。
自分を支えてくれるパドメを失う悪夢、良いアドバイスをしてくれないメイス・ウィンドゥとヨーダ、自分の才能を認めてくれない上にパルパティーンのスパイとして利用しようとするメイスとヨーダを含むジェダイ評議会など、アナキンがダークサイドに落ちる要素が散りばめられています。

しかし、肝心のアナキンがダークサイドに落ちて、ダース・ベイダーになるまでの流れが無理矢理でした。
最初はクローンを助けようとした心優しい人だったし、オビワンに自分がまだ未熟だということを伝えていたし、パルパティーンが全ての黒幕だということを知ってすぐに、メイス・ウィンドゥに報告してしました。
良い人だったのに、メイス・ウィンドゥに報告した数分後にはメイス・ウィンドゥを殺してしまいます。
そして、パルパティーンに忠誠を誓い、ジェダイと通商連合を皆殺しにします。
これに関しては意味が分かんない笑笑。人殺しにまでなってしまう人には全く思えないです。


アナキンへの教育が間違っていたと気づいたのか、オリジナル三部作に登場したオビワンとヨーダは、プリクエル三部作の時よりも感情が豊かになっています。

オリジナル三部作のルークとプリクエル三部作のアナキンの対比も分かりやすい。
2人とも怒りっぽい性格だけど、周りの人がどのような性格かによって、その影響は全く違う。
ヨーダとオビワンの成長を見ることができます。


プリクエル三部作を嫌うファンの気持ちは理解できます。アナキンをガキだと思う気持ちも理解ができます。問題点が多くある三部作ということも否定できません。

しかし、捨てがたい魅力もたくさんあります。
アナキンvsオビワン、そして、戦いが終わった後のオビワンのセリフ、この2つはシリーズの集大成であり、ジョージ・ルーカスの集大成でもあります。

個人的には大好きな映画です。
ふじお

ふじお