「これが一億一心、心を一つにして戦っている日本国民のすることでしょうかね…」
83分しかないのにズシンとくる。
冒頭、画に描いたように長閑な北海道の風景が映し出され「あれ、見る映画間違えた?」と思っていると画面が暗転して赤い文字でタイトルが出るところでゾワッとなる。
戦時中でひっ迫した生活を余儀なくされてる事の鬱積が部外者に向けられるのは、今のコロナ禍にも通じる。
横移動のトラッキングショット、画面奥から手前への移動、燃える家など、ダイナミックなカットが満載。(百合と剛一が対峙する場面はドリーズームで撮られてる?)
菅原文太演じる軍人の剛一は、馬に乗って高い所から人々を見下ろし、縁談を断られて面目を潰された腹いせに嫌がらせを行う。
閉鎖的な村の排他主義と、軍国主義からくる有害な男性性が掛け合わさり、本来戦争から逃れる為に辿り着いた疎開先でこのような悲劇が起きてしまった。
戦場から遠く離れた土地でも、戦争は大きな弊害をもたらす事を教えてくれる作品。
本作を観ると、ムックリの音が軽くトラウマになる。