福福吉吉

パンズ・ラビリンスの福福吉吉のレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
4.0
内戦後のスペインにてオフェリアは継父で軍人のビダル大尉の命令で妊娠中の母と共に、森の中の住処に移り住むことになった。高圧的なビダル大尉により怯えて暮らすオフェリアだったが、妖精に導かれて森の中の不思議な場所に辿り着く。

ビダル大尉率いる軍とレジスタンスの抗争をシビアに描きながら、望まずオフェリアがやって来た森の住処で不思議な体験をする物語となっています。思った以上に戦争の匂いが濃く、重みのある作品になっていて驚きました。

主人公のオフェリア(イバナ・バケロ)は好きだった父を失い、高圧的で自分自身にしか興味のないビダルが継父となったことで行き場のない生活に押し込まれることになっており、観ていて酷く心が痛みました。そんな中、虫の姿の妖精に導かれ、不思議な世界で冒険することになり、彼女本来の行動力や感受性が発揮され、子供らしい生き生きとした姿に心惹かれました。

不思議な世界は多様で、気味の悪い場所や豪華な場所など映像として興味を惹く内容になっており、そんな中、思うままに行動するオフェリアの姿が印象的で良かったです。

ビダル大尉(セルジ・ロペス)はかなり傲慢な人物で、妊娠中の妻に適した環境でない基地のような住処に移り済ませるなど自分の思いどおりにしないと気が済まないところが見られます。レジスタンスに対して非情で、嬉々として拷問を行う様は鬼にしか見えませんでした。オフェリアについては興味が無く、娘と思っていないように感じました。

オフェリアの不思議な世界での冒険とビダル大尉の非情で容赦のない行為が対照的ですが、ビダルがもたらす非情な現実が厳しくて、どうしてもオフェリアの身を案じるしかないようになっていきました。

予想以上に重い展開に疲れましたが、映像としてクオリティが高くて最後まで楽しく観ることができました。とても面白かったです。

鑑賞日:2023年4月27日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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