Icchi

パンズ・ラビリンスのIcchiのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
3.7
スペイン映画。マーシュランドに続いて二作目だけど、大体後味がおんなじ感じになるようなならないような…

いや、内容は全然違うけど。何とも言えない感じの終わり方ですね。

この映画は最後がハッピーエンドかどうかで議論になるみたいですね。
たいていの人はハッピーエンドととらえるだろうと思うけど。かくいう私もハッピーエンドのテンションでこのレビューを書いているわけです。

とはいえ、バッドエンドととらえる見方もあるのはなんとなく納得。

この映画は二つの兄妹が出てきます。かたや当時のスペインの内戦状態を決死の覚悟で生き抜こうとする年齢を重ねた兄妹。かたやおとぎ話の世界に魅せられ、現実から逃げ出そうとした幼い兄妹。
対比表現といってもいいでしょうか。

そして、大人と子供の対比。よく考えてみると、大尉もお母さんもメルセデス兄妹も医師も全員が厳しい現実を生きようともがいているわけです。そんな中で、幼い主人公だけがおとぎ話の世界に戻ろうとしている。いわば、"現実逃避"といえるかもしれない。

最後の場面でも、結局現実での救いは…。一度おとぎ話を捨てて現実を選んだにもかかわらず、その結果は結末としてはお世辞にもいいとはいえない。その後、おとぎ話としての救いが来るわけですが。

これらから考えると、この映画は二面性の映画に感じます。全体を通して考えてみても、戦争パート→おとぎ話パート→戦争パート、みたいな繰り返しになっている。

だから、エンディングも二面性をもってしかるべきなのではないでしょうか?
そう考えてみると、二種類のとらえ方があるのは自然だなと思いますね。

余談ですが、この映画のおとぎ話の世界、ファンタジーにしては怖すぎないですかね?
普通に子供が見たら泣くと思う。
Icchi

Icchi