140字プロレス鶴見辰吾ジラ

パンズ・ラビリンスの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
4.1
”歩こう、歩こう、私は元気”

プロレスファンにしか伝わらないネタ

【元WCWのビル・ゴールドバーグの入場テーマのイントロと、「となりのトトロ」のOPテーマである「散歩」のイントロはほぼ同じと言ってもいい。】

”物語論”

人類による物語の開発は、信仰のそれと同じ意味のある意義の誕生なのだろう。この物語の少女の世界は残酷で、多大な痛みのイメージが付きまとうものだった。だからこそ、物語の世界へ迷い込む権利を得た。無垢な者にしか見えない幻想の世界であっても、世界に産み落とされる前の痛みのない守られた世界の外を受け入れることでも、そして外の世界の試練に苦痛を感じても。物語が待っていてくれるならば、そこに意義が生まれ、残酷に意味を持たせ、そこに”美”が生まれるのだろう。血のイメージや泥の穢れや、気味の悪いモンスターが這いずり回ろうとも、そこにある”意義”が”美”として、物語の主人に認識されるのなら、幸福な亡骸として”美”としての”意義”が承認されるのだろう。

ギレルモ・デル・トロの描くダークファンタジー。
ギレルモ・デル・トロの描く「となりのトトロ」。

本当は怖いおとぎ話をぎこちなく世界に映し出した傑作。
物語の意義を気味の悪い世界の中の美として描いた怪作。

宮崎駿の作った物語をまた違う意義の物語に流転させた、物語自体の体温が脈打っている様に不思議なシンパシーを感じて、「これは美しい」と納得をするのだと思う。


しかし、まあ・・・
あんなデカい虫見たら、オレは死ぬぞ。