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パンズ・ラビリンスのrollinのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
4.4
ミツバチのささやきとトトロを経て語られる不条理の国のアリス。

フランコ独裁政権が始まったばかりのスペイン。ストレスと死に満ちた非生産的な世界で、少女オフェリアは生まれて来る王子のために羊の迷宮へと足を踏み入れる。

ナナフシ妖精、大トトロ蝦蟇、マンドラゴラといったクリーチャーたちの実在感と可愛らしさ。そしてパンとFlying Lotus a.k.a.ペイルマンがフィギュア業界にもたらした貢献は計り知れない。

よく言われるダークファンタジーというのは要素のひとつで、自分はオフェリアと同等以上に義父の大尉の物語でもあると思う。王や神のように振る舞ってはいるけど、彼は失われつつある王国のかつての王子であり、反政府ゲリラの物語を妄想する現実パートの主人公なのだす。妻の出産を廊下の長椅子に座って待っているシーンなんかまさにそうやね。

物語の結末は悲しいけれど、残されたものを見届ける限り、これ以上の映画的な救いはない。ただあの先独裁政権が何年続いたかを考えると、これ以上の絶望もないのでがんす。

でも人生って意外と妄想の中で過ごしてる割合が多いんやないか。僕も幼い頃、自分はロックマンだと本気で思っていたし、正直今でも少し信じてる。