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パンズ・ラビリンスのおなべのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
3.7
—だから少女は幻想の国で、永遠の幸せを探した—。鬼才《ギレルモ・デル・トロ》監督が贈る、妖精に導かれ数奇な運命に見舞われた少女を描いたダークファンタジー。現実と幻想の世界が交錯しながら物語が展開していきます。

1944年スペイン内戦下、レジスタンスと交戦中の独裁政権軍は山奥のキャンプ場に駐在、極悪非道のヴィダル大尉と再婚した妊娠中の母カルメンとその娘オフェリアはそこに移り住むことに。オフェリアは肩身を狭い思いをするも、一匹の妖精との出会いから運命が動き始める。

この作品と似たダークファンタジーで『怪物はささやく』というアメリカ/スペイン映画があります。その映画でも弱った母親と幼い息子が主軸で、おとぎ話の中で木の怪物に3つの話を聞き答えを導き出す…といった物語で、今作と設定が少し似てます。というのも、どちらも同じプロデューサーが制作を務めたそうな。

ファンタジーでありながら嫌というほど現実を叩きつけられるのは、あくまでも現実本位だから、そのどうしようもなさが切実に心に刺さります。こういう寓話はハッピーエンドとも限らないのが逆にリアリティがあって良い意味で戒めになるし、視聴者に媚びる事なく淡々と現実を主役に描き、尚且つファンタジー要素も忘れずに取り入れる監督の見せ方にも拘りがあって良かった。だって妖精と牧羊神、ペイルマンにマンドラゴラの根などのクリーチャーの他に殆ど“あちら側の世界”を見せてないのに、鑑賞者に自然とその世界の大体を形成させてるのが凄い!

そして賛否両論分かれる終わり方。一通り物語を拝見した結果、冒頭に上述したコピーに書いてある通りだと思います…。


【以下ネタバレ】

●マンドラゴラの根って『ハリーポッター』に出てくる“マンドレイクの根”にそっくりだったのは偶然でしょうか。マンドレイクの方が何倍もうるさかったけど^^;

●ペイルマンは子どもにとってはトラウマ級や笑
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