あきら

パンズ・ラビリンスのあきらのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
4.8
「世の中は残酷なのよ」このひと言尽きる。

大尉は憎々しいが、大尉だけが悪いわけじゃない。非道だが臆病でかわいそうな男でもある。
オフィリアの子供ゆえの愚かさもある。
カルメンだって弱すぎて、いい母親とは言えないだろう。
メルセデスの逞しさだけが光にみえるほどに。


自分の口を自分で縫うって凄まじいなって思うけど、そういう時代なんだよな…
グロはグロだけど、これは良いグロ。美醜紙一重だなって。デルトロ監督気持ち悪いとこは、嬉々として作ってそうよね。そのセンスが最高すぎる。

第三者目線からすれば救いのない話かもしれないけど、オフィリアにとってはこうしかあり得なかった救いのあるラストと見るやけどね。何が救いかなんて、本人にしかわからないものだし。
彼女は幻想に逃げ込んだときから彼岸に辿り着いてしまっていたし、たとえ他人からは凶々しく見えようが、彼女が最後に描いた景色があんなにも美しかったなら、それで閉じられたラストシーンに黙って泣くしかなかったよ。

ええ。すべてが大好きです。
あきら

あきら