にゃんこむ

パンズ・ラビリンスのにゃんこむのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
3.9
ギレルモ・デル・トロ監督の作品ということで視聴。
大人のファンタジーと聞いていたのですが……。ファンタジーとバイオレンス映画を交互に見せられる感じ。もう一回見たいと思ってもゴア描写のせいで手が伸びないくらいトラウマ。
グロシーンカットした全年齢版を出して欲しい……。

ペイルマン(手の目的な怪物)が出てきたシーンはそのクリーチャーの造形に、心底惚れ惚れしました。
手のひらに目があるクリーチャーは他にもいますが、それを頭の、実際に目があった部分までゆっくりもっていくシーン、すごく好き。醜く伸びた老人みたいな皮膚もいい。

この作品のダーク・ファンタジーな部分はものすごく好き。
この世界観や色彩が『シェイプ・オブ・ウォーター』に受け継がれていくんだなぁと思うと感激でした。
不思議の国のアリスやオズの魔法使いなど、古典的なファンタジーを彷彿とさせます。

ただ、内戦後のスペインを描く部分は殺伐として、暴力的で、話として大事な部分なんですが、目を覆って音量消したくなるくらい苦手。暴力描写は監督の実体験を元にしているらしいですが、そういうところ現実的にしなくていいのになぁと個人的には思います。
そういう点では『パシフィック・リム』は子供向けというか商業向きなんでしょうね。

中盤~後半の暴力シーンは「うわ~、やめて~」と思いながら見てました。

オフィリアの義理の父となった大尉は、サディストで残忍で、ゲリラや怪しげな村人に拷問や制裁を加えるのを厭わない性格冷淡な性格ですが、『自分の息子』に固執するところは、自分の父が死んだ時の影響で、自分もいつか死ぬのだとわかっていたからこそ分身を作ることにあれほどまで執着したんだと思います。そういうところの描き方がギレルモ監督の繊細さを感じられて良かったです。

現実があまりにも無情過ぎるので最後のシーンはほっとしました。
他にも、深くまで考察できるので良い映画だったと思います。
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