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ベンヤメンタ学院のBONのレビュー・感想・評価

ベンヤメンタ学院(1995年製作の映画)
3.7
80年代のストップモーションアニメ界に彗星の如く現われた一卵性双生児の兄弟。ヤン・シュヴァンクマイエルの影響を受け、デヴィッド・リンチの世界にも通じるダークな作風が。ノーラン監督もクエイ兄弟が大好きで去年彼らをサポートして展覧会も開催された。

本作は同年のロカルノ国際映画祭若手批評家賞受賞作品で、数々の映画祭に招待されている長編実写映画。

スイスの異端作家ローベルト・ヴァルザーの小説『ヤーコプ・フォン・グンテン』や、『白雪姫』『シンデレラ』のリメイクにインスパイアされ、実写と人形アニメーションを融合させた幻想的な映像でアート・フィルムに新たな境地を切り開いた傑作。

同じことを際限なく繰り返し、ひたすら服従することを学ぶ荒れ果てたベンヤメンタ学院。学院に入学した「小公子」ヤーコプはレッスンに励みながら、秘密に導かれ驚くべき体験をすることになる…という物語。

執事養成カリキュラムでは良い年ししたオッサン達が執事の決め台詞をひたすら叫びまくるシーンがすごく滑稽で面白かった。ストップモーションアニメもグロテスクでメランコリックだが、実写版はモノクロの中の光の揺らぎ方が異常に美しくて、ダークで混沌とした世界の虜になった。
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