yukihiro084

オーシャンズ12のyukihiro084のレビュー・感想・評価

オーシャンズ12(2004年製作の映画)
4.5
『お父さん、こういうの、
つまんないから見たくないんだよね!』

人の気配がするので、横を見たら
息子が腕を組んで、目を細めて凄んでいた。
怒っているらしい。彼なりの抗議らしい。
語気を強めているが、ちっとも怖くない。

視聴中断。『へーい』と、場所を譲る。
そうそう、ネットフリックスを始めて、
今、オーシャンズシリーズを観直している。
オーシャンズ13を観ている途中だった。

今回再鑑賞して思ったけど、
僕はたぶんオーシャンズ12が一番好きだ。

シリーズの中で一番自由で、なんとなく
だけど、あまり興行収入とか観客の反応
とか気にせず、ソダーバーグは作った
ような気がする。そして何よりも、
僕が勝手に(オーシャンズシリーズの
エピソード0)もしく(パイロット版)
もしくは(ソダーバーグの試運転)と
位置づけている(アウト・オブ・サイト)に
似ているからだ。
ソダーバーグが監督をして、
クルーニーが主演したあの作品に。
あれも好きだった。
タバコも吸わないのに、Zippo買って、
主人公のマネをしたりもした。

キャサリン・ゼダ・ジョーンズ、
こんなに(いい女)なんだなぁと。
惚れ直した。すごくすごく素敵だった。
美しさ、存在感、聡明さ、透明感、
艶っぽさ、真っ直ぐな眼差し、強さ、
堂々としていて、危うく男たちが
霞むところだった。

映画は、特に気負うこともない。
大ヒットした第一作を受けて制作された
のに、ソダーバーグは、スケールを
大きくする訳でもアクションシーンを
派手にする訳でもない。
ソダーバーグはそう判断したのだろう。
そんなのは、このシリーズの続編の
姿じゃないと。代わりに彼は、
まずはマット・ディモンをいじり始め、
終盤には、絶体絶命のピンチなのに、
遊びまくってさえいた。
しかし、オープニングがそうであるように
この作品はブラッドとキャサリンの映画
だった。際立っていた。
(アウト・オブ・サイト)のクルーニーと
ジェニファー・ロペスの関係のように。
ブラッド・ピット。車はあーなるし、
携帯はそーなっちゃうんだけど、
その都度見せるリアクションがいい。
あと、追いかけてくる警察官から
逃げる姿があんなに絵になるのって
あとルパン三世くらいじゃないの。

レビューを書くとき、気をつけて
ることがあって、あまり窮屈にならない
レビューにしようと。
友達と呑んでいても、近況話したり、
目に入った店員さんの可愛さの話したり
口に入れた刺身の上手さの話になったり、
話があっちこっちに散らばるのが
自然だし、なんかそれって窮屈じゃない
んですよね。妻にも見せない隙を
見せたり、大事な話を脇に置いて
くっだらない話をひたすらしたりね。

この映画の登場人物たちも、
いい感じで、自由で、自然で
個々のキャラクターが生きていた。

テンポ、音楽、ユーモア、
(あと何日)のフォント。その背景。
遊び心。たまらない。

うん、好きか嫌いかと言うと
シリーズで一番好きかな。

(アウト・オブ・サイト)には
ドン・チードルも出ていて、
今作のようなサプライズゲストも
出てるしね。ほら、やっぱり似てる。
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