まるまる

迷子の警察音楽隊のまるまるのレビュー・感想・評価

迷子の警察音楽隊(2007年製作の映画)
3.7
huluでは、コメディ/ヒューマンドラマとカテゴライズされていました。
見るからにおかしな人が出てるわけでも、激情を迸らせるわけでも、顔芸なんかも、一切ないです。
ですが、漫画でよく見る
「………。」
という、言葉にならないって表現。
これ的な可笑しさは随所にありましたw

イスラエル映画。
エジプトから親善の為にイスラエルに派遣された、警察音楽隊。
ペタハ・ティクバという都市に行く予定が、一文字違い(だそうですw)のベイト・ハクティバという、何もない町に辿り着いてしまって…。
見知らぬ土地で、見知らぬ人達との、一晩の出来事の話。


人がフレームに収まれば、セリフがあんまりなくても、それだけで何かドラマが生まれますねー。

子犬のような目をした隊長。
観てるこっちがイライラして来て「据え膳食わぬは男の恥」という日本の格言(?)を思いっきり教えてやりたくなったのですが、そこでハッと気が付いた。
彼らはムスリムだった。

迷子の彼らを一晩泊めたカッフェーの美人マダム。
隊長さんをデートに誘いだします。
そんなうまい話ある?とか思って見てたら、後のシーンで「あ、なるほど」と。
この人も、いろいろ抱えている様子。

オレンジ色の服着た妹さん。
第一印象「暗い」とか言われる始末。
何やら胸に秘めた思いがあるようで、
この娘のミョーなローラーアピールに胸が熱くなったw
イスラエルのこの辺鄙な街にもローラーディスコがあるんですよ。イスラエルでは流行ってるのかな?
小さな体育館みたいなところに、蛍光灯が照らしてる中、ミラーボール無理やりしつらえて、壇上に特にライトアップされてるでもなくDJが一人ポツンといった風情。人の入りも、平日昼間のボーリング場といった感じ(平日昼間に行った事ありませんがw)
ここのドラマもよかったw
世慣れた遊び人風の音楽隊若手イケメン。
こいつ絶対良いヤツw


あまり饒舌じゃない映画のシーンに、その分、自分の中のピースがバシバシ嵌ってった感じでした。
旅先で、見る人すべてが「人」って当たり前のことに気が付いて、感動した事とか。
雑煮餅ごちそうになったら、その人の故郷では、餅を焼いてから入れるという事に気が付いて、ちょっとした異文化コミュニケーションを味わうと共に、その人への見方が少し厚くなった気がした事とか。
友人宅に遊びに行ったら、その友人のコミュニティと一緒になった時の、なんとも言えないやりにくさとか。
新幹線の中、到着まで、たまたま居合わせた人と四方山話を延々した時。話の流れの中で、ポロっと自分の奥深くにある傷みたいな話が漏れちゃって、相手からも漏れて来たりすると、もう他人じゃないような気がするものですよね。知らない者同士、後腐れのない者同士だから、かえって話しやすい。そんな事とか。
それから後朝の感じw


感情が激しく揺さぶられるとか、そういう派手さはまるで無いのですが、何かイイ映画でした。
一つ深呼吸して、彼らのアラブな演奏を聴いた。
なんだか充実した一人旅に行って帰って来た気分。
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