文化交流のためイスラエルを訪れたエジプト警察音楽隊は、目的地と違う辺鄙な街に誤ってたどり着いてしまう。
そこから隣国同士、だけど長い間敵対してきた両国の一晩の交流が始まる。
初イスラエル映画。
互いに訛った英語で交わされるたどたどしい会話。
終始漂う微妙な気まずさ。
堅物な団長、チャラい若団員、田舎でくすぶってる人々、一晩の夢をみる女。
その間を埋めるのは人々の善意と音楽。
チェット・ベイカーが隙間を心地よく流れていく。
静かに過ぎていく一晩。
過去に想いを馳せ、現実を憂い、寂しさに抱かれて。
翌朝、スカイブルーの制服に身を包み、横一列に並ぶ音楽隊。
微かに表情に表れる変化。
そうだね、みなこの一晩のことは一生忘れないに違いない。
この空気感、カウリスマキ監督に近いものがあるなぁと思いました。
実は昨日発表されたミュージカル界のアカデミー賞ことトニー賞で、今作のミュージカル版「The Band's Visit」が、作品、楽曲、脚本、主演男優・女優、助演男優、照明・音響・編曲・演出となんと10部門受賞。見事な圧勝でした。
ちなみにミュージカル版はこんな感じ↓
https://youtu.be/QNf7Rg9H3kI
ストーリーは全く同じだけど、脇役含めそれぞれに曲があてられ、ミュージカルらしく映画よりもっとエモーショナルな作品に。
編曲が本当に素晴らしくて、様々な楽器が出てきて民族的な雰囲気の楽曲があったり、ジャジーなものもあったり、聞けば聞くほど深まるキャスアルになってます。
そしてまさかの映画版で主演したサッソン・ガーベイの同役でのBW出演が決まったそう。これはビッグニュース!見れる人が羨ましい。
最近BWも社会派作品が増え、受賞も続いています。
ミュージカルも多様性の時代なんだなぁ。
ホリプロが今作に出資してるので、ツアーが来日しないか密かに期待してます♡