Jeffrey

セリーヌとジュリーは舟でゆくのJeffreyのレビュー・感想・評価

3.0
「セリーヌとジュリーは舟でゆく」

冒頭、公園のベンチに座り読書をする女。そこにスカーフを落とした女性現れる。不気味で不思議な屋敷、パリの街、幻想的な出会い、魔法のボンボン、共同生活。今、大人の迷宮へと一歩先へ…本作はジャック・リヴェットが1974年にフランスで監督した彼の魔法のような奇想天外で遊び心に溢れるファンタジー映画としてシネフィルに絶賛された映画で、この度DVDボックスを購入して初鑑賞したが面白い。既にヌーベルバーグの巨匠とされていた彼が商業的にも批評的にも大きな成功を得た作品として有名である。息を呑むような美しい映像の数々と何が起こるか分からないスリリングな物語展開が良い。

さて、物語は公園のベンチで本を読むジュリーの前を、不思議の国のアリスのウサギのように、落とし物を残して走りすぎるセリーヌ。落とし物を返そうとするジュリーはセリーヌの後を追ってパリの街を駆けまわる。そんな幻想的な出会いを果たした2人は、好奇心と遊び心いっぱいの共同生活を始める。そして魔法のボンボンを手に入れ、不気味な屋敷の中で繰り広げられる不思議なメロドラマの世界に迷い込む(DVDパッケージの裏の引用)…と簡単に説明するとこんな感じで、冒頭からセリフがなくずっと追いかけ回すシーンが続くのには驚いた。一応この作品180分越えの映画である。70年代のパリの風景が見られて良い。


やはり尺が長いのとゆったりと進む分、時間は更に長く感じてしまうが、視覚的に特別な施しもなく、二人の女性と「お化け屋敷」との関係が面白く描かれていて、夢のように展開する。個人的にはレズビアン、フェミニストの側面を指摘できるかと…可能性としては2人の女性が言いようのない犯罪を犯した統合失調症の看護師の2人の性格を表している事で、看護師としての一人の女性とその後の彼女の対応者の切り替えの間の繰り返しの切断を説明する。同じ狂った女性の角度の両側は、おそらく物語が経験豊富な魔術師のために潜水するパフォーマンスアマチュアである女性を含む理由かと…。お化け屋敷の登場人物マリー・フランスピジェがかなり良かった。神秘的に映る。本作は歳を重ねて観ると若い時に見た感性とはまた別の感想を抱くかと。
Jeffrey

Jeffrey