優しいアロエ

ワン・フロム・ザ・ハートの優しいアロエのレビュー・感想・評価

ワン・フロム・ザ・ハート(1982年製作の映画)
3.4
〈低質なラスベガス版『ラ・ラ・ランド』〉

 倦怠期のカップルがそれぞれ不倫をして、またよりを戻すかというお話。ロマンチックな楽曲が多用され、あたかもミュージカルのような雰囲気。艶やかなセットでの撮影も相まって、『ラ・ラ・ランド』やMGMが1950年代に手掛けた一連のミュージカル作品を彷彿とさせた。

 しかし、その内容はそこまで素晴らしいものではないと感じた。キャラクターの心理が掘り下げられることはなく、製作側の意図に沿って行動をとっているだけ。特に共感も驚きも呼ぶことはなかった。

 かつ、キャラ自体も魅力に欠けている。恋愛劇なのに「美男美女でない」というのが当時大コケした理由なのではと思う。あまり外見だけでキャラの魅力を決めたくないので、そこは差っ引いて考えたいのだが、それでも表情や仕草は逐一尺に触るし、やけにセクシーショットが入るのにも違和感を覚えた。

 うまくやればウディ・アレンが描くようなラブコメに昇華できた気もするが、セリフも練られてなかったのでそうはならず。カメラワークと実験的な映像表現だけは好感が持てた。
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