みおこし

コッチおじさんのみおこしのレビュー・感想・評価

コッチおじさん(1971年製作の映画)
3.5
ジャック・レモン監督作品。俳優としてのみならず、監督としての手腕も発揮していた彼が、盟友ウォルター・マッソーを主演に迎えた秀作。

妻と死別した72歳のコッチは息子夫婦と暮らす孤独な老人。孫のダンカンを溺愛しているが、息子の妻はそれが気に入らず、彼の代わりに15歳のエリカという少女をベビーシッターとして雇う。ある夜、彼女がボーイフレンドを自宅に連れ込んでいるのを目撃したコッチだったが...。

ごく平凡な人に巻き起こる出来事をユーモラスかつシュールに描くことで人間の悲哀を浮き彫りにした作品でした。なんだか極めてレモンらしいというか、まさに彼が演じて来た役柄に通ずるな、と。
老けメイクで老人役に扮したウォルター・マッソーも、口数が少ないのにひしひしと感情が伝わってくる圧巻の演技で最高でした。

年老いて寂しさを孫の世話で紛らわしていた男が、愛する家族からもやんわりと疎ましがられる...。なんとも切ない設定ながら、どこかクスッと笑ってしまうシーンもありつつ。
ベビーシッターのエリカとの奇妙な交流を通して、また人生に希望を取り戻していくんですが、とにかく作品全体に漂う空気感がなんとも言えない心地よさでした。
息子夫婦も、口には出さないけれどコッチに冷たくする感じがもうリアルすぎて本当に腹立つ!(笑)

ジャック・レモンファンなら必見、隠れたヒューマンドラマの名作でした。
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