【がさつなバディ】
U-NEXTにて。1983年公開時は、自分がコドモ故か特出したものを感じず、満足度はビミョーだった。
そして時を超え、今見ても残る本作の面白みは“がさつパワー”かと。それ以外はこのジャンル、随分アップデートされてしまった。
それとは別に、個人的には、やっぱり時代を振り返る面白みがマシマシに詰まっている。
80年代の、パラマウントが利益追求型に変わる雛形となった作品。これが当たって、ハリウッド娯楽映画の“商品化”が進んだらしい。『フラッシュダンス』『トップガン』なども、ここから続くわけね。
銃撃戦は、人体破壊をカタルシスとして見せる。人の死は軽く、店も車も街も派手に壊してナンボ。コメディアンの力がそんな深刻な状況を、差別まじりのキツいジョークで笑い飛ばす。
バブルな80年代だからこそ、これらがウケたんだよね。日本人が見ても目立たないが、オリジナルの挿入歌も仕込んでおり、それもそこそこウケたらしい。MTVの手法も取り入れたってことね。
一方、刑事にコンバットシューティングをやらせた最初期の作品でもあって、これはコドモが見ても新鮮だった。やたら撃ってくる凶悪犯との釣り合いが取れて、展開が凡庸でも、迫力があった。
がさつなクマみたいなおっさんニック・ノルティに、今ではまるで魅力を感じない。不思議と嫌悪感はゼロだけど。そんな男が主人公って逆に、古びぬ無味から見ていられる。
エディ・マーフィはシャープな原液か。アメリカ人じゃないし彼のジョークは殆ど笑えず、まだ魅力炸裂とも思えないが役柄同様、何とか外に飛び出ようとする姿勢がいいなと感じる。
この二人、まったくケミストリーが起こらないと思うんだが、そのがさつさが本作の個性ではと。
女性の扱いは当時のあるある。男のオマケなんだよね。アネット・オトゥールが、いかにも損してる女でリアル。ニック・ノルティと年齢差10くらいあるのに、それが当たり前なのもハリウッドか。
こうして改めて見ていくと、揃うべくして揃ったんだなあ…との納得感がある。そして、倫理観を横に置けば、快作だとおもう。
エディ・マーフィはこれが原形となって後に、『ビバリーヒルズ・コップ』を生むわけね。
ウォルター・ヒル的には、この後でより、映画の商品化を進めたのが『ストリート・オブ・ファイヤー』だったりするのか?と改めて気づいたりもするのでした。
<2024.9.3記>