〈ポップで、キュートで、そして切ない。〉
ベルイマン初期の傑作。内容はよくある"喪失と再生"モノのそれだが(というか、本作がその原点かもしれない)、そのシンプルさが逆に沁みる。ひと夏の淡い恋模様はとてもポップだし、キュート。でも、その中には生と死などの人生の本質が散らばっている。言ってしまえば、本作で描かれているのは一人の女性の半生でしかないのだが、その重みはなかなかのもの。スーパースターの一生のようだ。ベルイマン作にしては大分観やすいのだが、そこには決して侮れない深みがある。初期作にして、彼のマニフェスト宣言となった傑作。