とうがらし

斬人斬馬剣のとうがらしのレビュー・感想・評価

斬人斬馬剣(1929年製作の映画)
4.1
農民を苦しめる悪代官。
その悪代官を襲い、額を斬りつけたのは十時来三郎(月形龍之介)。
来三郎は、悪代官の差し金に追われることになる。
が、彼らと戦って
”何のために斬る”
”飯を食うため”
”米は誰が作る”
とやり取りを繰り返し、次々、彼らを懐柔。
白馬軍団を結成。
その頃、悪代官は民の若い女を次々とさらって、お城の女中にする。
来三郎は、軍団を率いて助けに行くのか…
と思いきや、単騎で城内に乗り込み、若君を誘拐。
城の家臣たちが大騒ぎ。
来三郎は若君を抱えたまま、お濠の池へ飛び込んで逃げる。
さらわれた若君は来三郎たちから、農民の思いを聞き共感するが、
農民と城の軍勢は対峙。
まるで殉教者のように農民は磔刑。
十字架に縛られ、一人、また一人と晒し上げになっていく…
そこへ来三郎が白馬軍団とともに現れる!という話。

時代劇の父と呼ばれた伊藤大輔監督の作品。
戦前の娯楽アクション映画。
痛快でスピーディー。
なんと凄まじい迫力。
当時まだ技術が進歩していないのにどうやって撮ったんだ!?

長らく消失していたが、2002年に26分弱のダイジェストが発見された。
導入部は、忠臣蔵っぽいがその後は違う。
おそらく、前半にも白馬軍団を率いて戦ったシーンがあったと思う。
もしかすると、保管されていたフィルムが国やGHQの検閲でカットされたかもしれない。
そのシーンが残っていないことによって、意外な展開を生んでいる。
長尺版が見つかったら是非観てみたい幻の超大作。
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