なすび

素晴らしい一日のなすびのレビュー・感想・評価

素晴らしい一日(2008年製作の映画)
5.0
(3回目)
この映画を見ている人は少ないしあまり手に取られない映画だと思う、自分もハジョンウのファンにならなければこの映画と出会うこともなかった気がする。皆さんがもし私のこのレビューを見てこの映画と出会えたらいいなぁと思う!個人的にこの映画は自分の中で大切な大切な一本であり、本当に素晴らしい映画です。
今回は見終わって色々調べました!するとめちゃくちゃ興味深いことがたくさん分かった。
まず原作は日本の平安寿子さんのものらしい!イユンギ監督が韓国の本屋さんで見つけてビビッと来て「まるで忘れられてしまった古い物語みたいだと思った」と語ってます。原作読もう。
イユンギ監督がこの映画で影響を受けたものはななな何と!エドワードホッパー!!!!!!!まじか!!!自分がめちゃくちゃ好きな画家やんんんんんん(友人に「あなたはこの画家が好きだと思う」と教えてもらってドンピシャだったんです)監督はエドワードホッパーの絵画が好きで光の入れ方を参考にしたらしい。だからこんな地味なロードムービーでソウルの街を周るだけなのにすごく美しい映画を見た感が残るんだなぁ、確かに、都市を美しく切り取ることに長けているのはエドワードホッパーからというのは頷ける。歩道橋を2人が歩くのをガラスに映る姿を撮るシーンとか都市ならではの美しいシーンでハッとさせられた。
イユンギ監督が影響を受けたものは更に、ホウシャオシェン、ロバートアルトマンの初期作品、ウディアレン(あの音楽づかいはそうでしょうよ😭)スコセッシ、そして70〜80'sの他のインディペンデント系監督でコーエン兄弟の「ブラッドシンプル」など。らしいです!!!最高やね!そりゃ当たり前に好きなわけやわ!!!

この映画の特徴とは何と言っても音楽!音楽監督のキムジョンボムさんは1930〜1940年代のジャズ音楽とラテンジャズに影響を受けて作曲したらしい。や〜サントラ欲しい😭
あと3回目見て気付いたのが長回しが多いこと。やはり自分は細かいカット割より長回しで役者の演技に重きを置く映画が好きです!会話の中の微妙な間とか気まずさがあるのがリアルでいいんよね
なんかヒスがビョンウンに取る態度はほんと自分が弟にする態度と似てる笑 今回それに気付いて面白かった!

この映画ほんとうに大好き、オールタイムベストです。しかも前2回は「この映画感情移入えぐいほど出来るから自分にとって特別」だから好きと思ってたけど今回はこの映画が普通に映画として出来が素晴らしいこと、画面作りにもこだわり抜かれていること、この監督の好きなものが自分と同じだったことなどに気付いてしまいもっと好きが深まってしまいました笑 本当に見ていない人にオススメしたい!特にやっぱりウディアレン好きなら!!!おすすめです!!!😭😭😭

(2回目)深夜にどうしてもこのハジョンウに会いたくなってまたすぐ見てしまった…!少しだけ見ようと思ってたのにはまってしまって結局最後まで…!2回目見ると2人の過去に何があったのかまでヒントを集めて想像しちゃう、たのしいな〜。この世にこんなハジョンウがいると想像しただけでハッピーになれるわ、顔を覗き込んだり名前をたくさん呼んだり疑問形で話したり、母性本能のくすぐり方が分かってますな〜そしてそれにまんまとハマる私。こういうダメ男がタイプだからなぁ…。また夜とかにふと見たくなると思う、DVD買わなきゃ〜

(1回目)ハジョンウが出ている(しかもラブストーリー)からという軽い気持ちで見たのに、なんと…オールタイムベスト入り決定…!完全にやられた、無防備なみぞおちに一発入れられKO…これはあかん、こーれはアカンぞ(※私情挟みまくりの鬼長レビュー始まります…)

ズバリ!共感度150億%ォォォ!完っ全に自分の昔の恋とあの彼と重なりましたァァ!ハイおめでとう!笑
主人公「地味だけど知的そう」で真面目なヒス(チョンドヨン)がかつて付き合っていたビョンウン(ハジョンウ)から借金を返してもらうため、一緒にそのお金集めに付き合う1日のお話。
このビョンウンがまぁ絵に描いたようなダメ男。お金も職も無いのに競馬通い、夢だけはでかくて冗談ばかり言っていて口達者。でも世渡り上手、友達が多くて慕われている、愛嬌があって義理堅い、バカそうで何も考えてなさそうなのに時々真面目なことを言って、本当は色々悩みや辛いこともあるけどわざと明るく振舞ってるだけなのかな…?と思わせるような、もうとにかく甘えん坊で憎めない!…なんかかわいい!あんたには負けるわ!と悔しいけど言いたくなるそんな男。
コイツがまじで、自分の好きだった人と重なり「ウワ〜〜!!!やめてくれ〜〜!なんで自分のことを見ているかのようなんだ〜!」状態。もう途中から主人公が他人と思えない、むしろもう昔の自分でしか無い、てか自分だ、これ私の話だ、私のための映画だ、と…感情移入どころじゃないもう没入してましたよね、、、
主人公はもうコイツと別れてるわけなので、冷めた目でビョンウンを見てる、「いいから早よ金返せ」と。でもビョンウンはなんとか楽しませようとしたり、金を貸してくれる女の人達に会わせて「まあみんな仲良くしましょー!」と寄り道したり、とにかく今日の1日も楽しく過ごそうとしてる。そんなビョンウンに主人公はイライラ、お金貸してくれるのは全員女だしなんかやけに親密な人ばかり、「元カノ巡りなんか?私を巻き込むなよ」と不機嫌になりつつもそれを言うと相手にまた茶化されるのでむすっとしてる。でもビョンウンの気さくな所や人に慕われている所、なんだか憎めないような所をまた見て実は昔は彼のそういうところに惹かれていたわけだし、自分と正反対のビョンウンにこうやってリズムを崩されて振り回されるのがなんだか昔を思い出して懐かしくもあり、時は流れたけど変わっていないビョンウンが、昔の付き合っていた頃の楽しい時を思い出させてくれるような、少しずつ少しずつ主人公も肩の力が抜けていく、基本ツンデレなんで主人公全然楽しそうな表情しませんけど、心の中は少しずつ変わってるんです、アー!共感!!!

そしてこの役者2人の演技がね、お互い演技派と称されるだけあってもう最高!
チョンドヨンは表情の崩れない(と自分では思っているが実は顔に出まくり)を上手ーく演じてるな〜!囲み目アイラインからは意志の強さ、自分の殻に閉じこもり人を寄せ付けないことがわかる。感情表現が不器用で世渡りが下手、頑固、人を見下していて高圧的。そんな彼女が頼れるのは何気にビョンウンしかいなかったんだろうな。不機嫌な演技「뭐?(何よ?)」ばっか言ってるのにそのバリエーションもすごい。てか顔ちっさ!
ハジョンウ…どれだけハジョンウが魅力的なダメ男を演じれるかで映画の良さが決まるやん、サイコーでした。マジでもう大好き…最近の渋カッコいいダンディなおじさんぷりから想像つかないくらいの可愛らしいダメ男で、あなたこの後いつの間にその渋さを身に付けたんですか?とびっくりする。細かい仕草とかまで私の好きだったダメ男に似てて悶絶しまくったわ〜罪深い。ハジョンウ罪深い。

監督もすごい!最高のシーンがいくつも!
例えば主人公が若い男女が話しているところを子を見守る親のような少し悪戯っぽい笑みを浮かべているところ。このシーンで「あっ、2人は以前こういう出会い方をしたんだろうな」と分かる、そして案の定最後!あれ胸キュンだよね〜!!
バスのシーン、やばかた!バスに乗ってて主人公が怒ってる、ビョンウンは主人公の前の席に乗ってて「ねえ、怒ってる?」「あ、ヒスそこ優先席だよ〜笑」と機嫌を直そうとする。それでも無視されてるから「俺が見える位置にいたら邪魔だよね、移動するね」とバスの前の方の席に移動してそこから笑顔でこっち見て「ヤッホー」みたいな顔してる、まじで子どもか、無邪気か!ともう思わず笑みが溢れてしまう。ね、もうこういう細かい所までビョンウンの憎めなさが描かれていてイイ!

フゥ…かなり語ったけどもうとにかく…ダメ男に一度は恋したことある人なら少なからず共感できるはず!
ラストまでしっかり考えられていてもう最後まで楽しませてくれます!なかなかにオトナ味な映画、こんな映画がすきだ〜〜ウディアレンぽい音楽もまたオトナな恋愛度を高めてくれる、アガる〜

途中からこんな夢のような旅が永遠に続けばいいのに、ずっとお金が集まらなくてずっと一緒に集めて回れればいいのに、と思うんだけど、永遠なんてないからいつかは終わりが来る、いつかは別れなければならない。それは寂しいことではあるけれど、別れた後に、終わった後に1人で楽しかったことを思い出して、そのことに浸って思い出として記憶することで永遠に心の中に美しいものとして保存されてそれはそれで良いよな〜〜としみじみ思いました。

あァ人生…!この映画に出会えて良かった、美しい思い出と共にまたこの映画を見よう、ありがとう!泣

(追記)ハンヒョジュが一瞬出ている!笑 雨が降るバス停シーン。
なすび

なすび