ちろる

美女と野獣のちろるのレビュー・感想・評価

美女と野獣(1946年製作の映画)
3.8
元祖ジャン コクトー版美女と野獣。
まだディズニーとかで描かれるよりずっと前なので、原作に近い感じかな。
古いからもちろん現代の実写版には映像力は劣るに決まってるのだけど、その割にはなかなかどうして野獣っぷりの特殊メイクもリアル。
動く燭台とか彫刻とかが実際の人間が本当に埋め込まれているからそこは逆にリアルでファンタジック。
お得意の逆再生など、実験的な撮影法を取り入れたジャン コクトーらしい遊び心と、計算され尽くした構図が、映像美術として完璧で、モノクロだけど物語の世界にどっぷり浸れます。
余計なものは削ぎ落とされて、野獣といじらしさと、ベルの芯の強さを強調した本作は、ディズニー版よりも恋に落ちた2人の過程に納得がいく。
あのバラの演出はとても美しいけれど、こちらの、ナチュラルな展開も捨てがたい。
モノクロなので、お屋敷の豪華絢爛なインテリの具合や、ゴージャスなドレスを拝めなかったのだけは残念だけど、それでも十分このおとぎ話の世界に引き込まれる、ジャン コクトマジック。観られて良かった。
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