ベルサイユ製麺

籠の中の乙女のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
2.5
「コレ怖いやつでしょ?確かカニバるんだよね⁈見送った気がしたんだけどな…?」とか思ってたら、韓国映画の『箪笥』プラス、米映画の『肉』とごっちゃになっていた模様。人も食べない(舐めるけど)し、ストレートな怖さも無くて、とにかく変な映画でした。映画の作りが変というより、変な事を描いた映画ですね。
壁に囲まれ周囲と断絶された大きなお家の中で、静かに狂っている両親に、その理想通りに育てられる2人の娘と息子。なので、放題の『籠の中の乙女』はあまり言い得てない気がします。原題直訳の『犬歯』の方がよっぽど刺さるのに。
で、子供達は狂両親の考えるイノセントな状態を保った“いい子”として育てられるわけですが、それは問題の先送りに過ぎなくて、実世界の問題に直面する事なく育った彼らは純粋というよりも、まるで白痴の様なのです。
“閉鎖環境で情報統制された中での生活”なんて言うと政治的な意図を勘ぐりたくなりますが、恐らくそんな考えはあんまり無くて、単に『過保護はダメ!何故なら親が馬鹿かもしれないから!』ぐらいのメッセージだと捉えました。
言い換え・置き換えを繰り返した結果、衝動性を欠いた彼らの生活は滑稽で、ずっと見てられるなーと思いつつも、はて我が身は如何に?と感じたりも。
剥き出しの刺激に触れ、歯車が盛大に狂い出す後半は痛快でもあり、儚くもあり。でも、あんな傑作を立て続けに観ちゃったら人生変えられちゃいますよね…。
ラストカットは、個人的嫌な映画ベスト3にも入る『ミヒャエル』と似てるなーと思いました。

『ロブスター』と同様、勝手なルールに縛られ翻弄される人々を、極めてドライなタッチでシニカルに描いた怪・快作です。とっても楽しめました。

が。

ネコをアレする映画は無条件で星マイナス一個だよ!パッケージに書いといてよ、マジで!