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籠の中の乙女のcomaのレビュー・感想・評価

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
4.0
とってもとっても、ランティモスでした。ヨルゴス・ランティモス監督の頭の中はどうなってるんだろ?

ロブスター、聖なる鹿殺しでも感じとる事が出来る同様のテーマ「支配の暴力性」が最も強く出ているように思う。
愛情というにはあまりにも酷い。自分の支配下にある存在しか愛せない、もしくは関係できない、そんな人間の作る小さな世界のおはなし。

世間から隔離された美しい豪邸は父の創造したユートピアで、家族は誰一人そこから出ることは許されない。子供たちは家の中でしか通用しない、デタラメな価値観を信じて生きている…
極端なように思えるけれど、多かれ少なかれ、これはどの家庭でも起こりうる問題のように感じる。(この作品が、その最悪のケース)
間違った価値観だったとしても、親は子供に信じさせ、植え付けることが出来る。しかも意図的に。
それって凄く、怖いことです。
無意識のうちに自分も同じ様なことをしていないか?ちょっと我が身を振り返らされますね。

決して外では生きられない子供たちが、もしも外に出たらどうなるか?それを示唆するようなシーンを挟んでくるのも意地悪い。観客の支配欲までくすぐるなんて恐ろしいぞランティモス。
いやしかし、気持ち悪いんだけど癖になるヨルゴス・ランティモス。
冒頭から一気に、この異常な世界観に引きずり込まれてしまったのだ、と分かる。このセンスに脱帽。
あとモザイクが必要なのは分かるんですけど、雑って言うか、隠しすぎて画の美しさを損なうレベルなのなんとかして欲しいなぁ。
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