三郎丸

バレット・バレエ プレミアバージョンの三郎丸のレビュー・感想・評価

3.0
塚本晋也の世界観をディープに体験すべく鑑賞!

今作は、監督、主人公から何でもかんでも塚本晋也が仕事しております!

ストーリーは、
10年間つきあっていた恋人・桐子(鈴木京香(モノ凄い綺麗な人なのですが、実は字がメチャ汚い)を、突然の拳銃自殺で失ったCMディレクターの合田(塚本晋也)は、事件をきっかけに「死」と「拳銃」に傾倒し始めていた。
ある夜、泥酔した彼は以前怪我を負わされたことのある不良グループの少女・千里(真野きりな)に出会い因縁をつけるが、逆に千里の不良仲間である後藤らにボッコボコに…
合田は不良グループに復讐すべく、拳銃を求め街をさまよい歩くが、そう簡単に入手出来ず、独自に勉強して妙にイカツイ拳銃を密造するが、そんなもので相手にダメージを与えられる筈もなかった。(空気銃以下…)
その頃、不良グループは台頭する新しい不良グループを潰す抗争を計画していていた。
それを知った合田は、ひょんな事から本物の拳銃をゲットして抗争に乱入。
しかし、不良グループの抗争とは別の件で千里の所属する不良グループメンバーは命を狙われる事に。
主人公は千里からその話を聞き、得意の拳銃片手に立ち上がる…

まず、観ていて
【拳銃を裸で構える】
というのは、映画タクシードライバーのトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)を観てしまった方は印象が強く残っていると思うので、塚本晋也が頑張ってもそこは超えようがないかなと…(それだけデ・ニーロが凄いという証明なのですが)

作品は相変わらずのパンク感があり好きなんですが、今作の主人公は奥さんが拳銃自殺をキッカケに
【何故拳銃に執着するのか?】
【殺意まで覚えた不良グループと主人公の立ち位置】
という部分の描きがブレているため、鑑賞者は半ば強引に曳きづられてストーリーを観なくてはいけないため、モヤっとした部分が残ります…

劇中、塚本晋也の荒い吐息はよく聞こえるのですが、肝心な台詞がイマイチ聴こえないというのもちょっと減点かなと…監督の世界観が好きでも、もちょっと会話内容の理解はしたいかなと思います。

千里役の真野きりな、死への憧れと共に恐怖を抱くという脆く危うい魅力は凄く良かったです。不良グループの紅一点ですが、それだけじゃない雰囲気がありました。

何処か物足りなさを感じる今作ですが、主人公と千里が色々な感情を抱えつつ走るというラストは、観ていて何故か爽快感があってとても良いです。
(二人とも大怪我していたのですが…)

オススメ処は、
殴りあわないボクシングシーン&顔の腫れた部分が完全に
「あ、何かへばりついてるね」
というチープな造りもの感。
三郎丸

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