安堵霊タラコフスキー

オーソン・ウェルズの オセロの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

4.9
実はオーソン・ウェルズ作品では現時点で市民ケーンとフェイクの次に好きな映画。

物語の終盤から物々しく始まるシークエンスは、さながらエイゼンシュテインのアレクサンドル・ネフスキーやイワン雷帝を思わせる重厚さがあって、この時点で名作であることがわかるくらい素晴らしい。

しかもその後本編が本格的に開始しても、重々しい演出と切れの良い編集でシェイクスピア悲劇を綴っていくので、ずっと目が離せないままあっという間に終了してしまい、やはりオーソン・ウェルズの演出と見事なカメラワークは凄まじいとつくづく思う。

加えて美術(というかロケ地?の城砦)や衣装、そして高波等の自然現象の効果にも目を見張るものがあり、十分素晴らしいものであるはずのローレンス・オリヴィエのシェイクスピア映画が可愛くて思えてくるくらいの圧倒的スケールがここにはあった。

それにしてもこんな名作を改めて見る機会を不意に与えてくれるからmubiっていうサイトはやめられない。