YYamada

ボーイズ’ン・ザ・フッドのYYamadaのレビュー・感想・評価

ボーイズ’ン・ザ・フッド(1991年製作の映画)
3.6
【ヒューマンドラマのススメ】
 ~映画を通じて人生を学ぶ

◆作品名:
ボーイズ'ン・ザ・フッド (1991)
◆主人公のポジション
LA犯罪多発地帯の閉塞感を
 打破したい黒人少年
◆該当する人間感情
 憂い、畏敬、憎悪

〈本作の粗筋〉 公式HPより抜粋
・犯罪多発地区として有名なロサンゼルス、サウスセントラル地区。この危険な街でトレ、リッキー、ダウボーイの幼友達は生まれ育った。
・トレは厳格な父フューリアスのもとで育てられ、恋人と堅実な生活を夢見る若者。リッキーはフットボールの名選手でスカウトが来るほどの有望株。かたや兄のダウボーイはストリート・ギャングに身を持ち崩してしまっていた。そんな3人に凶悪なギャング集団クレンショー組が突然襲撃を仕掛けてきた…。

〈見処〉
①闇を撃て!ビートを撃て!
 ブラックストリートを閃光が走る!
・『ボーイズ'ン・ザ・フッド』は、1991年に製作されたドラマ映画。
・公開中に発砲事件が発生し話題を呼んだ本作は、異なる人生を歩み始める3人の黒人青年を中心にロスの犯罪多発地帯サウス・セントラルの社会の現実が率直に描かれている。
・監督・脚本はUSC大学映画学科出身の23歳の新鋭ジョン・シングルトン。本作にて、第64回アカデミー賞で監督賞と脚本賞の2部門でノミネートされたが、監督賞ノミネートは史上最年少の24歳、またアフリカ系アメリカ人初だった。
・2002年には、本作はアメリカ議会図書館により、国立フィルム登録簿に登録している。
・出演は、思慮深い父親に『マトリックス』シリーズのローレンス・フィッシュバーン。苦難を乗り越えながら成長する主人公には、のちに『ザ・エージェント』(1996)にてアカデミー助演男優賞に輝くキューバ・グッディングJr.。隣人である親友にモリス・チェストナット、悪の世界に足を踏み入れるその兄にはアイス・キューブ、主人公の母親にアンジェラ・バセットなど、現在では一線級の黒人俳優を介している。

②結び…本作の見処は?
◎:「LA版スタンド・バイミー」 …幼き純朴な少年たちが環境に汚され、ギャングと化していく様が淡々と描かれている。当時23歳のジョン・シングルトン監督による、華美にならない演出は、アカデミー・ノミネートも納得の出来。
◎: 汚れた世界にあって、ローレンス・フィッシュバーンとキューバ・グッディングJr.が演じる黒人親子の関係性は、凛としていて、大変好感が持てる。
▲: 本作の成功を受け、多数製作されることになる模造作品の過激な演出と比較すると、おとなしい展開が続き、先行きも予見出来る内容に帰着している。公開当時の作品鮮度は、薄れている。

③本作から得られる「人生の学び」
・憎しみの連鎖は復讐では立ちきれない。
・劣悪な環境を人間性の崩壊の理由にしてはいけない。
YYamada

YYamada