ペコリンゴ

ミッドナイト・イン・パリのペコリンゴのレビュー・感想・評価

ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)
4.2
記録。
午前0時の黄金時代

2012年のアカデミー賞脚本賞を受賞、そして彼のフィルモグラフィで最も高い興行収入を誇るウディ・アレンの人気作。

まぁ、当人的には賞なんかどうでもいいんでしょうけどね(笑)

処女小説執筆中の脚本家が真夜中のパリで1920年代にタイムトラベル、崇拝する作家たちに出会って舞い上がるのも束の間、婚約者がいる身でありながらとある女性に一目惚れ…。

ファンタジーな側面を多分に持ちつつも、ロマンティックコメディかくあるべきといったストーリー、そしてアレン特有のシニカルな語り口で綴られる現代の寓話です。

本作以前の名作群と比して特別優れてるかと言われれば個人的にはそこまでは思いませんが、肩を並べて然るべき作品だとは思います。

この作品、冒頭が好きなんですよね。
え、いつもの黒いやつでしょ?
いやいや、ちょっと違うんですよ。

朝〜夜、そして晴れと雨。
心地良いジャズナンバーに乗せてパリの街並みをこれでもかと映し出す…からの黒いやつですよ。僕なんかもうこの時点で恍惚なんですよね。

主人公はオーウェン・ウィルソン扮するギル。アレン自身が演じる人物に代表される神経質な主人公とは異なり、ギルは自然体で早口で捲し立てることもない。

若干ロマンチストが過ぎる嫌いがあるものの、珍しく(?)観客に近いマインドの主人公で比較的好印象なのではないでしょうか。

脇を固めるキャストも役の大小問わず豪華絢爛。レイチェル・マクアダムス、トム・ヒドルストン、キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、そしてレア・セドゥetc…

アンチテーゼとは異なる懐古主義への立ち位置もGoodで、いずれにせよそれを共有できる誰かがいるのは素晴らしいやって思ったわけですよ。

…監督を取り巻く事情は承知の上ですが、日本の配給さん、そろそろ新作が観たいなぁと…。