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ミッドナイト・イン・パリのメルのレビュー・感想・評価

ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)
3.8
***「現在」って不満なものなんだ、それが人生だから ***

長い間ニューヨークを舞台にして来たウッディ・アレンが、ロンドン3部作から「それでも恋するバルセロナ」を経て、とうとうパリへ!

第一次大戦後の1920年代アメリカでは禁酒法があったので、お酒を求めて多くのアメリカ人がパリにやって来た。

その中には若き作家や画家が居て、「20世紀芸術の発見者」と言われているガートルード・スタイン女史の芸術サロンに皆んなが集まっていた。

これでもかと言うくらいに当時の芸術家を次々に登場させている辺りがチョット痛い感じもするが、みなさん風貌がそこそこ似ているので笑ってしまう。

個人的にはフィッツジェラルドとゼルダの関係性や、ゼルダの狂気には納得だが、ヘミングウェイのマッチョさを殊更強調する演出はBooo~!

現代からアールデコに憧れタイムトラベルしたギル…アールデコからベルエポックに憧れタイムトラベルしたアドリアネ。
そこにはルネサンスに憧れる人達が居て…。
人々にとって「現在」とは常に不満なものかも知れない。

現代のアメリカ人として登場する人物達が揃いも揃って俗物根性丸出しのキャラクターで、ウッディ・アレン流皮肉のオンパレード。

ロンドン3部作の「マッチポイント」からウッディ・アレンの違う面がどんどん出てきた気もするのだが、ご本人は「資金を提供してくれると言うからそれぞれの国で撮影したんだよ」的な事を言っている。

確かに「それでも恋するバルセロナ」は製作費の幾らかをカタルーニャの税金から出資して貰ったそうだが、英語の作品だった為地元の人達から反発を受けたそうだ。
その辺もウッディ・アレンらしい。

クラシックギターで奏でる Bistro Fada 、シドニー・ベシェのサックスは Si Tu Vois Ma Mere 、サントラも良い。

美術館の案内人役はカーラ・ブルーニ・サルコジ。
サルコジ 元フランス大統領夫人である。
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