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新悪名の東京キネマのレビュー・感想・評価

新悪名(1962年製作の映画)
4.0
浅吉さんが出征したのが満州事変なので、復員からスタートする本作は前作から14〜15年経っているということになる筈だが、誰も年をとっていない(笑) というか、この期間浅吉さんは 『兵隊やくざ』 だった、ということにもなる訳で、なんか騙されてるような感じもしなくもないが、まあ細かいことは置いときましょう。

さて本編、さすがにモートルの貞もそのまんまの復活とはならず、田宮二郎は貞の弟、清次となって再登場。 進駐軍に取り入って物資の横流しで糊口を凌いでいるという設定なので、英語ペラペラの嫌味なあんちゃん風。 粗暴で直情型は兄譲りながら、軽佻浮薄はヴァージョンアップ。 新型モートルの貞に見えるよう微妙に芝居を変えている。 ここらへんは田宮二郎の素晴らしい芝居センスです。

監督は森一生にチェンジ。 エンターテインメント性も増してきっちり娯楽映画に仕上がってます。 世の中、三国人だらけになっていて、勝新が “お前は、三国人か?” と一々確認するのがおかしい。 中には、人が良くて気の弱い朝鮮人、堀なんていう登場人物も居たりするのだが、これを悪役しかやらない伊達三郎が好演していて、ここらへんのアリバイ作りも微笑ましい。

今回もまた脇が楽しい。

“目ん玉大きいよって、ランチュウのお兄” ことオカマのお銀に茶川一郎(昔、オカマと言えばこの人だった)、今喜多代・島田洋介は女郎斡旋業で顔見せ、その他にも武智豊子や沢村宗之助などなど、懐かしい顔が沢山。 前回も端役でクレジットされていた小松みどりを探したのだけれどまた発見できず。 もしかすると顔が変わっちゃってる?(笑) でも、昔の人探しは色々楽しいですわ・・・。
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