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新悪名のmitakosamaのレビュー・感想・評価

新悪名(1962年製作の映画)
3.0
悪名3作目。戦争で兵役で幕を閉じた前作の続きで、一気に戦後の混乱期。
戦後の闇市を舞台にする、という言わば“仁義なき闘い”ですな。仁義が73年なので今作の方が約10年早い。
ただ、仁義が暴力渦巻くヤクザの描写に振り切ったことに比べ、今作はまだ表現としては義理と人情の“任侠”の世界。
だから、仁義がメジャーになった今の目線で見ると、戦後闇市で任侠を振りかざすのはとても違和感を感じる。これが正直な第一印象。

朝吉(勝)が戦争から帰ってきたら、戦死したことになっていて奥さん(玉緒)も再婚してた。村娘は進駐軍に乱暴されるなどなかなか無法な状態。
大阪に出てみたら無法が蔓延りどうにも戦前の様にはいかない。
悔しい朝吉だけど、闇市で働き弱い者の味方になる。

前作で死んだモートルの貞の弟で清次が出てくる。同じ田宮次郎。
でもキャラが全然違ってて完全に別人。この演技の使い分けは凄いわ。
闇での商売に精を出す典型的なチンピラ。

面白いのがさ,けっこう三国人を連呼してる所。(在日の中国・韓国人等)
悪事を働く側にも三国人が居て戦中の日本人に対する復讐めいた事を言い、一方で虐げられる闇市の中にも三国人が居る。
この辺の描写は意図的に丁寧に作っているという印象があるな。
やはり戦後の混乱に避けて通れない問題として描写してるんだのう。

まぁそれでも最後は朝吉の神通力で上手く纏めちゃうんだけどね。まだ仁義ある闘いが通じるからね。

オカマのお銀なるパンチの効いたサブキャラの登場と、河内音頭が見所かしら。
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