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王将のmitakosamaのレビュー・感想・評価

王将(1973年製作の映画)
3.3
スカパーにて。過去に何度か映像化されてる将棋の王将・坂田三吉の半生。
そして勝新と中村玉緒の夫婦による夫婦映画。まさに村田英男の歌う「王将」のまんまですな。吹けば飛ぶよな将棋の駒に〜♫

大阪の貧民街で雪駄職人の坂田三吉。将棋が大好きで家業をつぶす程の将棋狂い。将棋は基本負け知らずだが、飛車落ちなどのハンデ戦の賭け将棋に挑み借金まみれ。
この貧民街はフルセットを組んでるんだよね。どうも原作の戯曲に忠実に作ったらしい。長屋の近所に汽車が通るとか、通天閣が見えるとか。

で、東京から来たプロ棋士の関根名人と闘いボロ負け。生涯のライバルとなる関根名人役に仲代達矢。
嫁には自殺未遂されるし将棋には負けるしで、一度は将棋を辞める決意をするが、「あなた将棋をさしなはれ」とプロ棋士へと進む三吉。まさに浪花節。
途中目が悪くなるが将棋好きの眼科医に無償で手術してもらう。浪花節〜〜。

数年して再戦するし勝利するが、娘からめっちゃ怒られる。「銀が泣いている」という超有名なシーンらしいが、将棋のことがわからないので具体的には良くわからない。苦し紛れの勝利ということらしいね。

上手いなと思うのが、三吉に学が無く字が読めない、という設定が演出にも活きているということかな。将棋大会の招待状が読めずに遅刻する序盤のシーンと、妻の危篤の電報が読めずに関根名人に挑むシーンがリンクしてたりとか。

普段は現場で意見を出しまくる勝新が今作では、一切口を出さなかったらしい。坂田三吉のキャラは私生活の勝新夫婦には似てるけど、勝新が演じるにしては珍しいほどセンチメンタルだものな。
お陰で勝新の豪快さと繊細さが併せ持つ演技力がいかんなく発揮されたとは思う。
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