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青春の蹉跌のHKのレビュー・感想・評価

青春の蹉跌(1974年製作の映画)
3.9
石川達三原作の小説を映画化。監督は「アフリカの光」「ひらけチューリップ」などの神代辰巳。脚本は「青春の殺人者」「太陽を盗んだ男」などの長谷川和彦。キャストは萩原健一、桃井かおりなどなど

全共闘世代が終焉しかけた時代。学生運動を辞めて司法試験に向けて勉強している法学部の学生が、家庭教師のアルバイトで教えている短大生とセックスフレンドになる。しかし、時代のせいもあってか、乗ったレールに抗えずに男は…

全共闘世代が終わり、全てに対して無気力になってしまった世代「しらけ世代」を大々的に取り扱った作品である。何に対しても反抗的な凶暴性を秘めている萩原健一が、敢えてそのような無気力な学生を演じているというギャップにこの映画の魅力を感じる。

演出的な場面では神代辰巳監督らしいエキセントリックながらも斬新で、同時に儚くも切ないような部分が印象的に残る。それに加えて脚本が長谷川和彦さんのため、所々影響がありそうなのだが、奇抜な演出が目立つ。

まあ、一個一個上げるとすれば、えんやーとっとである。萩原健一は歌も上手いけど、あえて萎びたようなやさぐれた歌い方が、今の状況にとてつもない不満を示しながらも、犯行も出来ずに焦燥感だけが募るような演出を見事に表している。あくまでアップで撮り顔を強調して虚しさを際立たせる演出が良かった。

もう一つは、芹明香さんの演技だ。群衆溢れるアーケード街で、「お金ちょーだい。100円でええから」とヒッピーがごとく周囲に集る演出が、もうこの人は一体過去に何があったのだろうと思わせる。今でもあんな人が出てしまったら怖いが、観客視点で見るとどこか虚しさを漂わせてしまうのが映画の不思議な所。

極めつけは、所々会話シーンで映像が弛緩してしまった所で唐突にカンフル剤のように入る「WHAT TO DO NEEEEEEEEEEEXT!」である。ありゃなんのCMなんだ。赤んぼがスクリーンにドアップでしかも大音量で上記した台詞が流れるため、心臓が止まりかけた。ホラー映画を観に来たわけじゃないのに。これも長谷川さんの所業なのかな?

まあ、ショーケンが法学部の学生に見えるかどうかは知らないけど、桃井かおりが短大生に見えるかというとどう考えてもみえねえww、絶対にショーパブで働いてる色気ある人のイメージである。清純派には見えないため、そのギャップが見どころなのかもしれませんね。

なんかストーリーラインは、「シェルブールの雨傘」とかアメリカンニューシネマみたいな、時代のせいで愛する人を捨てなきゃいけない。レールに乗り続けなきゃいけないという虚しさを映像に表したような気がします。それ抜きにしても、堕児を薦めるのはどうかと…(;´д`)トホホ

まあ、最後は私の大好きなバッドエンドだったので見れて良かったです。未だにあの赤ん坊がトラウマじゃ。