このレビューはネタバレを含みます
メロドラマの古典作品であり、詩的レアリスムの代表作と名高いこちらの作品。
舞台はフランス領アルジェリアの都市アルジェ。
フランス本国から亡命してきた犯罪者ぺぺを演じる、若きジャン・ギャバンはもうすでに貫禄がそなわっている。
ストーリー自体は正直そこまで面白いとは思えなかったが、アルジェの異国情緒溢れる町並みを楽しめて、人物の喜怒哀楽の表現にひきこまれる。
例えば、不釣り合いに感じる陽気すぎる音楽をBGMに、ぺぺが銃を持って迫るシーンが印象的。
その狂気さと迫力に圧倒される。
そしてやはりラストシーン。
ジャン・ギャバンの叫びと、それをかき消すほどの船の汽笛。
彼の声が彼女に届かなかったことがわかり、より切なさを感じる。
前半で少し退屈してしまったが、ギャバンの存在感とその演技、そしてドラマチックで切ない結末には唸るほどだった。