このレビューはネタバレを含みます
2022.08.24 配信で視聴
原作は未読。
本作は『チーム・バチスタの栄光』の続編。
前作にもまして達者な演者をそろえ、見応えのある内容になっている。
堺雅人と高嶋政伸、2人の怪優の共演で、観る前から誰が正で誰が邪の役かわかってしまう。しかし複雑に入り組んだストーリーが、謎の中心である告発文の出どころを種明かしまで隠し通す。告発文を書いたのも殺人を犯したのも(私的には)予想外の人物だった。
「ロマンス要らねー」の立場からするとラストの一部は蛇足で邪魔なシーンでしかなかった。
けれど、倫理委員会の最初の査問の場で、“狂気”から“力強い狂気”へと変貌する堺雅人の凄み、大規模火災事故に対応して、病院スタッフらがあっというまにフロアを緊急病床化させる様(俯瞰で撮影)――それらは圧巻としか言いようがなく……。技量の幅の広さを見せつけた竹内結子や阿部寛(本作では癒し系w)などの主たるキャストはもちろん、製作側の本気もびしびし感じた。
また、キャストの一人として、今は政治家に転身した山本太郎が出てくるが、この人の“暴発しそうなエネルギーを内に秘めた”集中力にも感服した。映画『カイジ』のような使い方では彼の良さは活かせんわな、と今さらながら思った。
最後に、TBSに感謝。『チーム・バチスタ~』でも本作でも日本語字幕付き。これはたぶんTBSの配慮だと思う。難聴者の私、集中して観れたよ。ありがとう。
<余談>
すべての救急指定病院が大事故・大災害時の傷病者搬送を「すべて受け入れる」べきなのかどうか、医療を受ける側でしかない私にはわからない。
特定病院の現場の負担を考えると、救急指定の有無にかかわらず災害規模によって搬送受付を義務化することはできないものだろうか。
これは特に悪質な例でしかないが、10年少し前に起きたJR福知山線脱線事故の際、大阪鉄道病院が「事故現場から遠い」「ウチは救急指定病院ではない」ことを理由に負傷者の搬送を断ったことが明るみに出て批判が巻き起こった。
もし自分が“大規模天災や巻き込まれ事故”の負傷者で、黄色か赤にトリアージされたまま各所をタライマワシにされたら……と考えると、他人事ではない。かといって1つ2つの病院に集中して搬送されて、何かの間違いで“芋の選別”みたいに放置される(ありえないではない)のもイヤだ。