青二歳

土俵祭の青二歳のレビュー・感想・評価

土俵祭(1944年製作の映画)
3.6
カメラ宮川一夫!こんなアップ多用なんて〜きゃっきゃ。いろいろ試してる感が楽しい!アングルも多様。
相撲スポ根、相撲界ラブコメ映画。黒澤明脚本。原作は相撲小説(こんなジャンルあったんだ!素敵〜!)鈴木彦次郎。
精神論ぶちまける辺りジャパニーズスポ根の原形ですが、相撲は賭場のような興行もやれば神事もやってきたものだけあって、やっぱり精神論に説得力ありますな。

「明治初年ー
櫓太鼓は市民の安眠妨害だー
相撲の如き旧時代の遺物に観客が蝟集るのは遺憾至極ー
相撲全廃の火の手鹿鳴館よりあがるー」
相撲への世論が攻撃的になった時、関取たちも自らの在り方を悩んでいたよう。親方を始め、関取たちも色んなこと考えてる。その辺りを伝えたいのか、結構台詞頼りの成功譚。片岡千恵蔵がいろいろ頑張ります。
相撲小説が原作だけあって、タニマチの振舞い方とか、明治の櫓太鼓の再現とか丁寧で興味深い!


一言難をつけるとすれば…
バレエの映画化でもよくあることで、まず役者にバレエはできないし(有名どころで"ブラックスワン"も差替え)、バレエダンサーの身体にもならない("ブラックスワン"ではナタリー・ポートマンかなり頑張ってましたね。あれはすごかった)。

で、相撲映画ってそもそもムリがある。デブ使えばいい訳でもなし、相撲取りつかって演技ができるとも限らないし、さすがに主役には無名を使う訳にもいかん。

結局人間は身体なんですな…
悪役の兄弟子、大綱は顔は悪役だが体が貧相!ソップ型でもいねーよあんなそげた関取!
片岡千恵蔵演じる若手、富士ノ山はアゴ周りと腹周りは肉ついてるが、どうもケツが力士のケツじゃない…化粧まわしつけてる時は様になってますが!
アンコ型のはばしら君はなかなかの太ももをお持ちでしたが主役格がなー。うーん。
ストーリー上の要石である富士ノ山を引き取ってくれる玉ヶ崎、この人はソップ型らしいイイ体。おケツ立派!!
…ということで、相撲シーンにさしたる説得力がないのが一番の難点。

でもね、いま撮ってもどうせ同じ結論になりますよ。バレエ映画もダンサーが出ないやつは悲しいかなどうしたって駄作になるし。相撲も同じですな。身体を長年かけて作り上げるものは"役作り"じゃどうにもならないもんです…
ところでギプス(?)が足首ぜんぜん固定できてないけど大丈夫ですか玉ヶ崎アニキ。
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