最初のうちは観ていて凄くその静謐さが退屈だったのでもっと点を低くさせようと思っていたのだったが、後半から(桐島が遠藤に告白するあたりから)徐々に面白くなって来たので結果的にこの点数になった。実に静謐な映画だ。音楽は必要最小限にしか使われず(ちなみに音楽担当は大友良英氏)、カメラワークもダイナミズムとは無縁の若干ぎこちないロングショットや長回しを使って綴られる。低予算故と思われるそうした撮り方は、物語をセンセーショナルに語ることを拒否しているかのようで興味深い。同性愛という問題をあくまで上品に、静かに語ることに腐心しているかのようだ。ふたりはそんなにエロティックなことはしない。敢えて上品にキスし合うだけなのだけれど、そのキスシーンが愛おしく感じられる。