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アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶のsonozyのレビュー・感想・評価

4.0
20世紀の偉大な写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンが93歳の時に自身の作品と半生について語ったドキュメンタリー。

ブレッソン本人の語りはもちろん、イザベル・ユペール、写真家エリオット・アーウィットらのインタビューも貴重。
マリリン・モンローと結婚していた劇作家アーサー・ミラーが『荒馬と女』撮影時のモンロー(いつも何かを考えていたというその瞬間の美しさ)を捉えた写真について語ったり。

ハーレムで長く暮らしたり、メキシコ、インド、中国、ソ連、日本、ドイツ、ギリシャ、アメリカ、フランス、ユーゴスラビア...etcを旅して捉えた人物や、著名人のポートレート。
ベルリンの壁、暗殺の直前のガンジー...重要な歴史の一瞬を捉えたのは偶然か運命か。
そのすべてが素晴らしい。(写真集が欲しくなります。)

子供の頃から絵を描くのが好きで、晩年は写真から離れ、デッサンやスケッチに没頭していた日々も出てきます。

ブレッソンが語る印象的な言葉
「写真は、配列と構図がすべて。」
「写真は短刀のひと刺し、絵画は瞑想。」
「過去は白紙だが、記憶はゲップのように突然蘇る。」

イザベル・ユペールが語るブレッソンの魅力
「彼が撮るのは、人物が言葉を終え、それに続く瞬間を捉えるから、静的ではないの。」

ジャン・ルノワールの仕事に参加したくて、写真集を持ち込み、名作『ピクニック』のセカンド助監督になれた(ファースト助監督はジャック・ベッケル)思い出や、写真それぞれにまつわる記憶を楽しそうに語るブレッソンさん。これぞ、素晴らしき人生ですね。
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