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アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶のLEONkeiのレビュー・感想・評価

2.5
彼の最も有名な写真集、1952年に出版された『決定的瞬間』(英:The Decisive Moment、仏:Image à la sauvette)は、写真家にとってのバイブルとも言われ様々なジャンルを飛び越え今なお影響を与え続ける一冊。

自分も高一の春、偶々入った丸善の洋書コーナーで『決定的瞬間』を手に取りパラパラとページをめくり直感的に「これだ!」と衝動買いした。

配列と構図の素晴らしさを知り、写真に限らずデザインにしろ映画にしろ絵画にしろ、全ては配列と構図に有ると脳裏に叩き込まれた。

そして素晴らしい配列と構図で撮った被写体を生かすも殺すも、フイルムを現像し印画紙に焼く工程が最終的に写真に命を吹き込む。

被写体を撮る事とフイルムを現像する事と印画紙に焼く(プリント)作業は其々が専門分野で成り立ち、例えるなら浮世絵の絵師・彫師・摺師と分担されているのと同じ。

さらに写真集となると異次元の世界でインク・紙・印刷機等々…。

カメラマンの執念の拘り、指から伝わる感覚的紙の選択、印刷技術の可能性など、自分もデザイナーとして実際写真集に携わった苦労を思い出す。

写真は一瞬を捉えるものだが見えるものは現在と過去、そして撮った瞬間の写っていない見えない背景をも想像させる。

アンリ・カルティエ=ブレッソンはライカで撮った日常のスナップ写真とポートレートが主だが、瞬間を捉えていても決して止まっているようには見えない。

映画は彼の過去の写真を重ねながらインタビュー形式で振り返るドキュメンタリーで、アンリ・カルティエ=ブレッソンの素晴らしさは元々分かっているが映画の作りとしてはイマイチ。

映画の内容は良くても視覚的に配列と構図が良くない..★,
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