ガブXスカイウォーカー

ライフ with マイキーのガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

ライフ with マイキー(1993年製作の映画)
3.8
マイケル・J・フォックスの主演作品のパターン

主人公は口手八丁の切れ者。目標達成(出世、金など)してサクセスするため、あの手この手、汚い手を使ってでも立ちふさがる障害を乗り越えようとがんばる。

その中で経験を積み、様々な人たちと出会うことにより人間として成長し、金や出世よりももっと大事な物(愛、優しさなど)に気付いて、調子こいていた自分を反省する。

苦心の末、サクセスしかけるが、トラブルで残念な結果となる。あるいはサクセスするが、愛や優しさを優先して辞退する。

その後、気を取り直してやり直そうとしたころに、どんでん返しがあって、主人公は愛とサクセス、両方を手に入れてハッピーエンド!

作品によって多少の違いはあるが、大きく見て『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ、『摩天楼はバラ色に』、『ドク・ハリウッド』、『バラ色の選択』、『ライフwithマイキー』、『遺産相続は命がけ!?』、『さまよう魂たち』がこのパターンだろう。

今作でも、弱小プロダクションのマネージャー、マイキー(マイケル・J・フォックス)はスリの少女アンジー(クリスティナ・ヴィダル)を女優としてスカウトしたことで、悪戦苦闘の末、人間として成長する。最後は子役たちとの絆を深め、倒産寸前の子役タレント事務所を再出発させる。笑い、涙、そして子役を織り交ぜた見事なマイケル・J・フォックス・エンターティーメントだ。とにかく観ていて幸せな気分になれる。

ただラストはマイキーたちにはもっと大きなサクセス(例えばアンジーが大作映画の主演を獲るとか)で大儲けさせた方がスカッとして良かったかも?

マイケル・J・フォックスの主演作は、大会社の重役のふりをするバイト、売れっ子スター、将来有望な医者、一流ホテルの優秀なコンシェルジェなどイキった役が多かった。だが今作以降、子役時代の栄光にすがる弱小プロダクションのマネージャー、手首の故障で引退したプロボウラー、妻の死を引きずるイカサマ霊媒師と落ち目の設定が続いていく(もちろん、全てハッピーエンドだ)。今作はマイケル・J・フォックスがちょっと方向転換した作品として見ると実に興味深い。マイケル・J・フォックスに興味のない方でもこの手のジャンルが好きな方には安定したハートフルコメディとしてぜひお薦めしたい良作だ。