Ricola

世界中がアイ・ラヴ・ユーのRicolaのレビュー・感想・評価

世界中がアイ・ラヴ・ユー(1996年製作の映画)
4.8
わたしはこの映画を観て、ウディ・アレンの作品がやっぱり好きだと確信した。

キャストが本当に豪華!「ネームバリューでキャストを選んでいない。それぞれ役に合ったキャスティングをしている。」とウディ・アレンが言っていたけど、今作もそういう風に選んでいるように思えた。

家族のみんながそれぞれ個性的で、噛み合ってないようでマッチしているという状況が好きすぎる。

一部が喧嘩して言い争っているのに、一部がホッケーで遊んでいて干渉してこないという状況が好きでたまらない。家族ってこんなもん、とでも言いたいかのよう。

現実への不満が幻想へ導く…たしかにそうだと思う。所詮夢は夢、と突き放しながらもウディ・アレンは夢見ることを全く否定しない。そこに共感するし大好きな考え方。

マルクス兄弟の映画へのオマージュもただただ最高。まず原題もそう。「御冗談でショ」で歌われていた歌が"Everyone says I love you"。これを知っているか知らないかでこの映画を「面白い」と思うかが変わる気もする…。

みんなでマルクス兄弟の格好をしたり、踊ったり…。グルーチョの歩き方の再現にまでこだわっているところが素晴らしい。

あと最高なのがマリリンも歌っていた"I'm through with love"。特にゴールディ・ホーンが歌っていたバージョンが好き。夜、セーヌ川の辺で語らいながら思いが溢れてしまって…という状況も最高にロマンティックで素敵!
そしてその流れでのダンスもうっとりするほど好きだった。

全体的にウディ・アレンの映画好きな思いが溢れる作品だった。
昔の映画に敬意を払い、その要素のオマージュもあるが、ウディ・アレンらしさが軸にあるので懐かしいのだけど新しさもある楽しい作品だった。
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