RAY

世界中がアイ・ラヴ・ユーのRAYのレビュー・感想・評価

世界中がアイ・ラヴ・ユー(1996年製作の映画)
4.0
“キラキラの素”


ウディ・アレン初のミュージカル映画です。
ミュージカル部部長様のレビューから、どうしても観たくなり鑑賞しました。


映画について書きます。
ウディ・アレン節と言いますか、彼の表現や雰囲気を生かしたミュージカルに仕上がっていました。
とてもお洒落なんだけど、ユーモアや風刺が散りばめられています。

キャストもものすごく豪華です。
ウディ・アレンも自ら出演していますが、ゴールディ・ホーン、エドワード・ノートン、ドリュー・バリモア、ジュリア・ロバーツなどなど。
実は、ナタリー・ポートマンも出演しています。
多くのレビューや解説にもあるのでご存知の方も多いかもしれませんが、彼等はミュージカルと知らされずに召集されたそうなのだから驚きです。
多分、その理由についても観てもらうと納得出来るんじゃないかと思います。


内容に関しては、特に際立ったストーリーではありません。
ただ、それがウディ・アレンの“らしさ”なんだと思います。
このことは先に書いた豪華キャストとミュージカルとも大きくかかわってきます。

ところで、人がキラキラしている時ってどんな時だと思いますか?
人によって違うと思いますが、恋している人ってとってもキラキラしていると僕は思います。
この映画では多くの人が恋に恋して行きます。
ただそれだけのことなのですが、それがすべてなんじゃないかとも思います。
「恋は盲目」なんて言葉がありますが、恋をすると、人はキラキラすると同時に周りが見えなくなったりもします。ある意味、滑稽な状態とも言えるのかもしれません。
この“滑稽さ”を表現することが、ミュージカルだと伝えなかった理由のひとつではないかと僕は感じました。
僕だってダンスは苦手ですが、好きな人が出来た時はスキップくらいしたい気持ちにもなりますから。

そして、もうひとつ。
恋している時って、その人の為ならどんなに恥ずかしいことだって出来てしまったり、普段言えない様な事が言えたり、伝えたくなったりすると思います。
なんだったら、どれだけ無様でも守りたいと思ったり、自分を投げ出してその人の為に行動することが出来ると思います。
それは、本当にその人のことが大好きだからそうなるんだと思います。
この映画のキャストは超大物ばかり。
それでも、ミュージカルと知らされずにミュージカル“させられた”ことは、もしかしたら彼らにとってはとても恥ずかしいことだったかもしれません。
だけど、なりふり構わず恋するその様を表現する為には必要なことだったのかもしれません。


豪華キャストとミュージカルについて書きましたが、それもこれも根底にあるのは、ウディ・アレンの映画愛だと思います。
人の恋を表現しながら、ミュージカルしながら、ウディ・アレンの芯もしっかりと残した素敵な作品だと思います。

多分、何も考えないで観るよりも、自分にとっての“恋”を思い描きながら観て頂くと良い作品だと思います。


観て良かった。
RAY

RAY