hana

ブエノスアイレスのhanaのレビュー・感想・評価

ブエノスアイレス(1997年製作の映画)
4.0
ウォン・カーウァイ監督が魅せる映像美と
音楽の融合は観る者を白昼夢へ誘う。淡色の彩りがアクセントになる計算され尽くした構図は溜息が出る程綺麗。

アルゼンチンのブエノスアイレスを現実からの逃避先に選んだゲイのカップル。トニー・レオンの冷静さとレスリー・チャンの破天荒ぶりは側から見ると凹凸にハマるかのようにお似合い。だが、彼らのその日暮らし振りは長くは続かず関係性にも暗雲が立ち込める。

好きなのに上手くいかないジレンマに苦しむトニー・レオンの姿が印象的。冷静さの中に時折情熱的で壊れそうな一面が露呈すると何とも抱きしめたくなった。レスリー・チャンの危うさ、幼さ、色気が混在した魔性具合は観てると不安で仕方がなかったです。

バックパッカーのチャンの登場によって雰囲気が明るくなってからは、のめり込んで観ました。トニー・レオンとの師弟関係から徐々に距離を縮める過程はこちらの鼓動が高まる。手も繋がずただ一緒に居るだけなのに艶っぽさが増して行く二人から目が離せない。

劇中曲がどれも印象的で、観賞後にはその音楽に浸りたくなる中毒性があります。時折流れていたアルゼンチンタンゴの音色が凄く心地良かったです。
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