荒野の狼

アンカーウーマンの荒野の狼のレビュー・感想・評価

アンカーウーマン(1996年製作の映画)
4.0
原題Up Close and Personalは「親しい、親密な」といった意味の1996年のアメリカ映画。1970年代に実在したアメリカではじめて女性ニュースキャスター(アンカー)を務めた草分けの一人であるジェシカ・サヴィッチの実話を基に当初映画は製作された。しかし、完成した映画は実話とはかけ離れてしまったためか、アメリカでの評価は低い。
ちなみにサヴィッチは二度の結婚をし、薬物使用疑惑のスキャンダルなどもあり、36歳で交通事故死しているが、映画ではこれらの出来事は描かれていない。レッドフォードが演じた男性のモデルも存在するが、サヴィッチに暴力をふるっており年齢も3歳上と映画のイメージとは異なる。
実話とは異なるが、映画としては無難な出来であり、とくにセリーヌ・ディオンの主題歌セリーヌ・ディオンが映画の内容にもあっており映画の内容以上に良い(アカデミー歌曲賞にノミネートされた)。まったくのフィクションでモデルなどいないとしていれば、評価はもっと高いものになったであろう。
単なるラブストーリーに終わらず、命懸けでレポートするジャーナリストの姿勢がよく描かれており、そうしたジャーナリストをも「自己責任」などと非難する日本のマスコミとは対照的で、高いモラルで気骨のあるジャーナリストをレッドフォードは好演している。
主演のミシェル・ファイファーは当時38歳であるが、本作で20代の若い頃を演じても違和感はない。一方、レッドフォードは60歳でスタイリッシュな初老の上司としてはよいのだが、ファイファーの恋愛相手となると違和感があり、皺やシミの多さが気になってしまう年齢で、これ以降、恋愛映画の相手役はほぼ卒業した感がある。
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