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オルエットの方へのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

オルエットの方へ(1970年製作の映画)
4.0
デビュー作「アデュー・フィリピーヌ」で一躍ヌーベルバーグの重要人物として注目されたジャック・ロジエ監督の長編第2作。
女3人だけでバカンスにきたオフィス・ガールと彼女を追いかけて一緒に楽しいバカンスを過ごそうとする上司の姿を描いたコメディ風のドラマ。
原題:Du côté d'Orouët (1969 ,161分)

9月1日にヴァンデ県にある海辺の別荘へバカンスに出かけたジョエル(ダニエル・クロワジ)、友だちのカリーン(フランソワーズ・ゲガン)、キャロリーヌ(カリーンのいとこで別荘の持ち主は母、キャロリーヌ・カルティエ)の3人は、女だけの気ままな時間を楽しんでいた。
そこへ、ジョエルの上司で彼女に思いを寄せるジルベール( ベルナール・メネズ)が現れ、あわよくば一緒に泊めてもらおうとするが当てがはずれる。
彼は別荘の庭にテントを張らせてもらうことを許されるが、3人の女たちにからかわれ粗末な扱いを受ける。
そんな中、女性3人は海からの帰り道にヨットを持っている青年パトリック(パトリック・ヴェルデ)と出会う。
ジョエルはパトリックを好きになるが、パトリックはカリーンを気に入り自分のヨットに誘う…。

「こうなるのが嫌だったの。私をつけ回すから。
楽しみましょ。いくらでもからかえそうよ」

「そんな目で見ないで。会社にいるみたい」

「彼女、自分を失ってるみたい。
"転覆"したのよ。恋に溺れたのよ」

「みんな僕をバカにしてる。僕がここに来たのは…」

「気のいい彼がいなかったら最低のバカンスだったわ。
そうね。たぶん」

・Orouëtの発音
・うなぎとの戯れ
・ヨット遊び
・乗馬
・巨大あなごの料理と晩餐

ビルのオフィス場面に続き、
9月1日から20日までのバカンスの様子が日記調に、即興演出で綴られる。
はじめは開放感から日常のなんでもないことにはしゃぎまわる天真爛漫な女性3人の姿が自然体で生き生きと描かれるが、
終盤に向かい明るいトーンが変化。
3人に体よくばかにされ続けたジルベールがパリに帰り、
次にはパトリックに腹を立てたカリーヌもパリに帰ってしまい、
残った二人も興ざめして予定を切り上げてパリに帰る。
最後は、再び、ビルのオフィス内、最近入社した新人の女性…来年のバカンスは○○○○…ジョエルの顔に注目。これは何を示すのでしょう?
エリック・ロメールと似たところもあるが、この監督独特のなんとも言えないヌーヴェル・ヴァーグの香りと映像感覚。
他の作品もお薦めですよ。
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