Red

イディオッツのRedのネタバレレビュー・内容・結末

イディオッツ(1998年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

中々衝撃的な映画であった。
障がい者を演じる内容を差別的と批判されたのに対し、トリアー監督はそのような考えそのものが差別的だと返したらしい。
障がい者を演じるコミュニティに属する人々は健常者という肩書きに苦しめられている人たちであろう。社会のモラルやルールを守り空気を読むことを要求され責任を追わねばならない"賢い"人々は窮屈で生きづらい。
自由に振る舞っているように見え、社会的に配慮される存在である障がい者にアファーマティブアクションに適応されない彼らが魅力を感じるのも分からなくはない。
人々から理解されない行為の中には自由があり連帯がある。
ラスト、家族の前でも"アホ"に振る舞えるか挑戦する凄まじいシーン。何が人間を"賢く"縛り付けいているのかありありと提示される。
カレンがわざと音を立て、口回りをクリームでベタベタにしながらケーキを食べるシーンは様々な思想と悲しみと窮屈さに胸が痛くなる。
解放に向かうほど社会に縛り付けられるという構図に愕然とした。

不味かったのは障がい者の名を借りて金を巻き上げたり、人々を騙す行為があったことであろう。
彼らが本物の障がい者と会うシーンの顔の引きつる様子は己らの行為が差別的であるという自覚に他ならない。
障がい者を語り、良心に漬け込む行為はトリアー監督に言わせれば配慮的な差別感覚を嘲笑う様にも見える。
とても考えさせられた。
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