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落穂拾いのsmmt705のレビュー・感想・評価

落穂拾い(2000年製作の映画)
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沢山のじゃがいもが捨てられていく話からもう悲しくて胸がいっぱいになりそうな所を、子供たちの月曜から日曜までじゃがいも!の歌や、ロマの人、心のレストランの人たち、ヴァルダが持って帰るハート型のじゃがいもに救われた。この1時間と30分も満たない間に、沢山の人と知り合いになったような気持ちにさせてくれる。わたしがいつも勿体ない勿体ないとごはん粒ひと粒でも大切に食べたい気持ちを共有出来そうな人たちでいっぱいで、拾うって尊いし、守るのではなく無にしたいという、画家で廃材集めている人の話は印象に残った。最後のセネガルやマリの人たちに夜間ボランティアで言葉を教える拾い人は、数々の人の生活を拾いあげているのだと思うと(しかもそれはこっそりと)涙が止まらない。この世界は、救われるべきものだらけだ。そうかと思えば、見終わった後に思い出されるのは、剪定バサミやカメラレンズの蓋のダンスであり、トラクターを掴もうとするしわくちゃのヴァルダの手であり、冷蔵庫の中のデモであり、針のない時計なのだね。このお茶目さで、ヴァルダは虚しさを感じる日々の私たちの心を拾いあげてくれる人だ!
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