LEONkei

隠された記憶のLEONkeiのレビュー・感想・評価

隠された記憶(2005年製作の映画)
3.8
〝人間は生まれた瞬間から罪を背負う…〟

張り巡らされた伏線を放ち、『あとは自分で考えて下さい…』と投げかけるミヒャエル・ハネケ監督流サスペンス。

ジッと静かに見据えるかのように、我が家を淡々と固定カメラで撮り続けた差出人不明のビデオテープが一家に送られてきた。

誰が誰に何のためにこの行為を繰り返すのか…
次々と送られるビデオテープ、不気味なポストカード…

不安感・緊張感・不信感、人間のココロの弱さと醜さがズシリと重くのしかかる。
ありふれた日常をシンプルに上手く表現し、派手な演出はなくても気がつけば鼓動が揺れ動いている自分に気づく。

ひとりの人間が生きる上では、様々な人々の犠牲の上で成り立っている。
それが犠牲と言う表現が適当かどうかは分からないが、幸せを獲る代償として誰かが不幸せになっている場合もある。
それは知らないうちに相手を傷つけ、一生の傷跡として背負わせる事すら無意識でしてしまう。

しかし、それが人間と言うもの。
人間が人間であり続ける為には、むしろ傷跡は必要なのかもしれない。
それが例え悲劇であっても…。


この映画のキャッチコピー『全世界震撼のラストシーン』は大袈裟で軽過ぎる表現でいらないのでは…しかし、予測不可能な次に起こるであろう恐怖に背筋が凍り「あぁぁっ…」って感じです。

結論を明確に出さず解釈をしないハネケ監督のスタイルなので、ラストシーンの解釈も観る人によっては感じ方が違うのでしょうね…(u_u)
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